JR西日本「ローカル線見直し」対象線区はどこか

松本清張『砂の器』で有名なあの路線も廃止?

広島駅から中国山地の奥深くへと入っていく芸備線の岡山県寄りは備中神代ー東城間が81人で、「日本一の赤字線」を逆手にとったPRで話題になった北海道の国鉄美幸線(1977〜1979年度の輸送密度が82人、1985年廃止)とほぼ同じだ。東城ー備後落合間の輸送密度に至っては11人で、2018年度以前は1桁だったこともある。

これらの線区は鉄道維持のための方策を見いだすのが不可能に近い。沿線自治体との協議が難航して時間がかかるにしても、基本的にはバス転換の道を歩むしかないだろう。

公的支援の充実などを条件に鉄道維持を検討することになりそうな線区(輸送密度200人以上〜2000人未満)は、13線22区間の合計1122.2km。越美北線(福井県)や紀勢本線の新宮ー白浜間(和歌山県)、小野田線(山口県)など、JR西日本の全エリアに点在している。

上下分離方式は「公設」がカギ

JR北海道の2016年の発表では、200人以上〜2000人未満の路線について「利用者の少ない駅の廃止」「運賃値上げ」「上下分離方式」などを軸に沿線自治体と協議し、そのうえで鉄道を維持するかどうか検討するとしていた。

とくに上下分離方式の場合、自治体が線路施設を保有して鉄道事業者が線路を無償で借りて運転する「公設型」なら、経営が大幅に改善される。JR西日本としては公設型上下分離方式の導入を軸に話をまとめたいところだろう。

しかし、公設型上下分離方式は自治体に相当な財政負担を強いる形になる。駅の廃止や運賃値上げにしても、調整は難航するだろう。こうした「条件付き維持」が自治体から拒否されれば、バス転換の可能性が高くなる。

バス転換の場合はバス高速輸送システム(BRT)への転換も考えられる。この場合のBRTは、線路敷地をバス専用道に改築してバスを走らせるもの。専用道の整備に相当な費用がかかるし速度面でのデメリットもあるが、鉄道に比べて維持コストが安く運転本数も増やしやすいといったメリットもある。

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