「ファンが消えた」プロ野球キャンプの驚愕実態 例年にぎわう「赤ヘルの街」も大きなダメージ

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筆者は毎年春季キャンプの取材をしている。今年は躊躇したが、変貌した新型コロナ禍のキャンプの実態を見つめることとし、各球団に取材申請を出した。

即座に「取材をご辞退いたします」と返ってきた球団もある。取材陣も最低限に絞りたいとのこと。これも1つの見識ではあろう。取材を許可した球団からはすべて「PCR検査の陰性証明の提示」を求められた。またキャンプ地で立ち入ることができるエリアについての書類を送ってきたり、その日の行動報告書の提出を求めてきた球団もあった。

そんな対応に追われつつ出発し、まずは宮崎のキャンプを見て回った。JR宮崎駅は1年前とは見違えるように美しくなっていた。前年11月20日に駅と周辺の商業ビル「アミュプラザみやざき」がグランドオープンしたのだ。

本来なら、この駅前からオリックス、ソフトバンク、巨人のキャンプ地に向けてシャトルバスが出るはずだった。スター選手の写真をラッピングしたシャトルバスは、それだけで「球春」の到来を感じさせたが、今年はそれもなくなった。

オリックス・バファローズの春季キャンプは、宮崎市の清武総合運動公園(SOKKENスタジアム)で開催された。シャトルバスがないので公共交通機関で行くことはできない。JR清武駅からタクシーで向かったが、運転手は「去年までなら午前、午後合わせて6往復くらいしたが、今年は1回あるかないか」だと語った。

歓声のないグラウンド

これはすべてのキャンプ地でそうだったが、報道陣はメイングラウンドの建物内に入ることができない。グラウンドレベルで取材することもできない。入り口で受付をしてPCR検査の陰性証明を見せたあとはスタンドからグラウンドでの練習風景を見るだけだ。

つまり、昨年までの観客の視線でしか選手を見ることができないのだ。選手との人間関係ができているスポーツ紙の記者などは、試合の合間に興味深い独自コメントを取るのが腕の見せどころだったが、今年は選手への声かけもできない。メディアによるインタビューは、球場外の球団指定の場所で、距離を取って行われる。これも見慣れない風景だった。

打撃練習をする吉田正尚(写真:筆者撮影)

グラウンドでは昨年の首位打者・吉田正尚が元気に体を動かしていた。グラウンドの中だけは例年と変わらない。しかし歓声はない。

オリックスキャンプと言えば「足湯」が有名で、それ以外にもさまざまな飲食店がにぎやかに出店していたが、そのゾーンは駐車場に戻っていた。メイングラウンドの外にラーメン屋と弁当屋が出ていた。「球団職員とマスコミ向けです」とのことだったが、これは今年のキャンプでは例外的だ。

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