歯磨きに「虫歯を予防する効果はない」衝撃事実 「虫歯を減らす」たった2つの方法とは?

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アメリカ歯科医師会のパンフレットには、奥歯の噛み合わせの溝と歯ブラシの毛先の大きさを、顕微鏡で比較した写真が掲載されています(図表5)。

(出典:『ボケたくなければ「奥歯」は抜くな』(青春出版社)より)

これを見るだけでも、歯の噛み合わせの溝よりも歯ブラシの毛先のほうがはるかに大きく、歯ブラシによるむし歯予防効果が皆無であることは明らかです。

そんな中、歯磨きで明らかなむし歯予防効果があった、との研究報告があります。それは、歯ブラシにフッ素入りの歯磨剤(いわゆる歯磨き粉・歯磨きペースト)を塗って磨いたケースでした。

最も効果的な虫歯予防法は「フッ素」

歯ブラシによる物理的な歯垢除去によるものではなく、歯ブラシでフッ素を塗ることで、むし歯予防効果が表れていたのです。

最も効果的なむし歯の予防法は、フッ素を使うこと。フッ素には、むし歯の初期に起こる、歯から唾液中に溶け出したカルシウムやリンを元の歯に戻す効果があります(再石灰化作用)。また、口の中の細菌の増殖を抑える作用や、歯のエナメル質に働いて酸に溶けにくくさせる作用もあります。

歯ブラシは、歯垢を落とす道具ではなく、歯にフッ素(フッ素入り歯磨剤)を塗る道具なのです。このことは、世界保健機関(WHO)が監修した、むし歯予防の本にも明記されています。

歯科を受診し、むし歯の部分を削って金属や樹脂などの材料を詰めてもらったら、「治してもらった」と患者としては思います。しかし、実際は「治して」はいません。治療は終わりではありません。むし歯で失った歯の部分を、金属や樹脂など歯とはまったく異なる材料で置き換えただけといえます。

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