50代で成長し続ける人が毎日振り返っている事 忙しい毎日に必要な「たったひとつの習慣」

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KPTというフレームワークがあります。Keep (続けるべきこと)・Problem (改善すべき問題)・Try (新しく挑戦したいこと)の頭文字を取って名付けられたもので、プロジェクトなどの振り返りに使われます。
Yahoo!アカデミアなどでも、このKPTのフレームワークを振り返りに使うことがあります。

1行日記の「やったこと」「やってみよう」は、一見これと近いように見えますが、大きな違いは「自分にとっての意味」があるかどうかです。つまり、起こったことを取捨選択するだけではなく、抽象化して「そもそも自分にとってどういうことか」と意味を抽出することが大切です。

会社で取り組むプロジェクトの振り返りなどには、KPTはとても有効な方法です。ただ自分が体験したことを自分の人生に照らして血肉化するためには「自分にとっての意味」を考えて「そうか!」と気づくプロセスが非常に重要だということです。

予防医学研究者の石川善樹さんが「そもそも、○○とは何か」という問いを立て続けることが大事だと言っていますが、同様に、世の中の常識や前例にとらわれず、そもそも自分にとってどういう意味があるのかという視点で、俯瞰した振り返りをすることが重要だと考えています。

「振り返り」の技術で、何歳からでも変われる

振り返りの習慣を身に付けることができれば、何歳になっても成長することができます。

僕は20代のとき、どうやって仕事をしていいかもわからず、同期が仕事でどんどん成長していくのを横目で見ていました。30代になり、銀行からプラスに転職して、これまで経験のない業界でどうやって成果を上げればいいのか迷いながら、40代でグロービス経営大学院に通学するようになりました。今50代に入って、はっきりといえることは、これまでのどの時期と比べても成長のスピードが格段に違って速い、ということです。

大げさに聞こえるかもしれませんが、先月よりも今月、先週よりも今週の自分のほうが成長のスピードが上がっている実感があります。それは、振り返りをして、気づきを得るという習慣が自分の中にビルトインされているからです。

実は僕には、若いときには、経験も少なく、あまり勉強してこなかったという焦りにも似た意識があります。それをリカバリーするためには、一つひとつの行動に意味を持たせて、できるだけたくさんの気づきを得て、成長の糧にするしかないという思いがありました。だから今は意識的にそれをやっています。その成果が、今の成長の速さにつながっているということだと思います。

つまり、スタート地点が同じでも、たとえ人より遅れていても、毎日振り返って、気づきを得るサイクルを続けていくことで、いくつになっても成長することができるのです。僕は今、ビジネススクールの講師をしていますが、2〜3年のコースを受講する間、明らかに変わる人と、そうでない人がいます。

その違いは、きちんと振り返りのプロセスを身に付けることができたかどうか、さらにいえば「自分にとってどういう意味を持つか」という視点で学ぶことができたかどうかだと思います。

たとえばファイナンス(企業の財務)のクラスを取ったとします。でも会社で自分が担当しているのは営業で、ファイナンスの知識をすぐに生かせるわけではない。でもカリキュラムにあるから、一応勉強しておこう。そんなスタンスで学ぶのと、「今の仕事に置き換えて考えるとこういうことだな。これが取引先のスタンスを理解するうえで役立つから、明日から仕事で使ってみよう」と思って学ぶのでは、1年、2年経つうちに雲泥の差になるのはおわかりだと思います。

『1行書くだけ日記 やるべきこと、やりたいことが見つかる』(書影をクリックすると、アマゾンのサイトにジャンプします)

そうやって意味を持たせて、自分にとっての学びを抽出できる人は、どんな経験からでも「自分はこれを学んだな、未来に向けてこうなっていこう」というアクションにつなげて、変わっていくことができます。そして、そういう人と数年後に会うと、起業していたり、会社の中で目覚ましい成果を上げて自分の人生を突き進んでいるのです。

一方、ビジネススクールで教える一つひとつのフレームワークや分析スキルなどの知識は学んだけれども、それを今ひとつ生かしきれていないという人は、学びや経験と自分自身をつなげることができていないのだと思います。もちろん、それはビジネススクールに限った話ではなく、人生のすべてにおいていえることでしょう。仕事もそうですし、本や映画ひとつとっても同じです。

「自分にとってどういう意味を持つか」という視点で学ぶことさえできれば、何歳になっても変わることができるのです。
そしてそれは、毎日の振り返りの仕方によって、誰でもできることなのです。

伊藤 羊一 武蔵野大学アントレプレナーシップ学部 学部長

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いとう よういち / Yoichi Ito

アントレプレナーシップを抱き、世界をより良いものにするために活動する次世代リーダーを育成するスペシャリスト。2021年に武蔵野大学アントレプレナーシップ学部(武蔵野EMC)を開設し学部長に就任。2023年6月にスタートアップスタジオ「Musashino Valley」をオープン。「次のステップ」に踏み出そうとするすべての人を支援する。また、Zアカデミア学長として次世代リーダー開発を行う。代表作「1分で話せ」は60万部のベストセラーに。

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