マルハ総会、農薬事件の質問相次ぐ 大きな混乱なく、逆に激励の拍手も

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検証委員会の報告を受け、株主総会では厳しい質問が飛んだ。

「監査報告書では特に指摘すべき事項は認められないとのことだが、検証委員会からはいろいろな問題点が提示された。なぜ今までわからなかったのか」「今後は大規模な食品事故が発生した際に備えるとのことだが、大規模になる前に防げる体制を築くべきだ」などがその一例である。

伊藤滋社長はまず総会の冒頭で、会社の管理体制再構築に向け、動き出していることを強調。質問に回答した役員らからは、「今後は苦情の件数だけでなく、中身もしっかり見ていく。情報共有化を迅速にできる体制も作る」といった答えが返された。

労務問題にも高い関心

農薬を混入したとして逮捕されたアクリフーズの元契約社員は、賃金制度の変更による収入減少などで、会社に不満を抱いていたとされている。複数の株主からは、「規則や管理体制だけでなく、会社に愛着を持つようにすることが一番大切」といった質問が出され、伊藤社長も「コミュニケーションを再構築し、お互いに信頼しあえる関係を築きたい」と、労務管理を重視する姿勢を示した。

 ただ、株主みながみな、厳しい視線を向けたわけではない。印象的なのは、質疑応答の最後である。伊藤社長が「今後しっかりと企業価値を高めるべくやっていきたい」と述べると、会場からは拍手が送られた。総会に出席した株主からも、「非常に大きな会社なので、すぐに体制を変えるというのは難しいと思うが、がんばってほしい」「今後は徹底して変わってくれることを期待している」と、概ね好意的な意見が多く聞かれた。

期待と叱責が相半ばした株主総会。株主の期待に応えられるかどうか、マルハニチロの本気度が試されるのはこれからだ。

田野 真由佳 東洋経済 記者

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たの まゆか / Mayuka Tano

2009年に大学を卒業後、時事通信社を経て東洋経済新報社に入社。小売りや食品業界を担当し、現在は会社四季報編集部に所属。幼児を育てながら時短勤務中。

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