三菱重工業は6月26日、都内で株主総会を開催した。冒頭の事業概況説明の中で、宮永俊一社長は、仏アルストム争奪戦でGEに敗れた件に言及。「(主力の火力発電設備事業で)欧州やアフリカへの本格進出、さらには原発事業の強化などを狙ったものだったが、残念ながらわれわれの提案は採用されなかった」と悔しさを滲ませた(関連記事「アルストム争奪戦で敗北、どうする三菱重工」)。
仏アルストムを巡っては、エネルギーインフラの巨人、米GEがガス・蒸気タービンを中心とするエネルギー部門の買収を提案。これに対抗して、三菱重工は6月中旬、独シーメンスと共同で買収・事業提携を申し入れた。しかし、最終的にはフランス政府の支持を得たGEが勝利。今回の再編でライバルのGEはより巨大な存在となり、三菱重工が目標に掲げる「火力発電インフラの世界首位奪取」は実現が一段と難しくなった。
注目される次の一手
宮永社長は、「アルストムの一件は残念な結果となったが、当社の成長戦略は必ずしも今回の提案に依存するものではない。火力発電設備事業は日立との事業統合で立ち上げた新会社で早期に融合を図り、さらなる事業拡大を推進していく」と述べた。
午前10時から始まった株主総会には1735人の株主が出席。11人が質問に立ったが、意外にも、今回のアルストム争奪戦の敗北に関する質問はまったくなし。原発や防衛、客船などの事業に関する質問のほか、戦時下に労働を強いられた韓国人による賠償訴訟に関する質問も出た。
開発難航で昨年に3度目のスケジュール変更を発表した小型旅客機MRJ(三菱リージョナルジェット)に関する質問に対しては、交通・輸送ドメイン長の鯨井洋一副社長が回答。「開発期間が長期化してご心配をおかけしているが、初号機の最終組み立て段階にあり、ようやく地上試験を開始する直前まで来た。来年前半の初飛行、2017年の納入開始に向け、総力を挙げて取り組んでいく」と意気込みを語った。
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