草彅剛が大河ドラマで示した「別次元の存在感」

難しい役も必ず物にするトップアイドルの実力

また、2020年に公開された映画『ミッドナイトスワン』では、トランスジェンダーの主人公を演じた草彅さん。男性の体に生まれついたが心は女性であり、新宿のショーパブで働きながら女性として生活する凪沙(なぎさ)にリアリティのある演技でなりきりました。

その結果、日本アカデミー賞主演男優賞に選ばれ、『浅田家!』の二宮和也さんをはじめ他の候補者も強力ですが、3月19日に行われる授賞式では最優秀主演男優賞を獲得する可能性があります。

凪沙は若くはなく、モテているわけでもない。しかし、ひとりでもきちんとした暮らしをし、真面目に働き、同じ境遇の踊り子が困っていれば救いの手を差し伸べ、世間の冷やかしの目にも負けず強く生きている人です。

草彅剛さんが演じた主人公・凪咲(写真:映画『ミッドナイトスワン』公式サイトより)

その凪沙が養育放棄された親戚の少女・一果(服部樹咲)を預かることになり、一果が得意なバレエのレッスンを続けられるようにするため、男性の姿で働くなど、自分を犠牲にしてでも少女に希望を託そうとします。

草彅さんはそんな凪沙のせつなさと母性のような感情を迫真の演技で体現しました。凪沙が体を売ろうとして客ともめたり、広島の実家に戻って親戚から責められたりと、激しい感情のやり取りも多いのですが、どんな場面でも演じているようには見えないほど。よく草彅さんを「憑依型」の俳優と言いますが、憑依というよりは、作品ごとにひとりの人間を作り出しているかのようです。

ただ、映画の終盤、凪沙がたどる運命は、草彅さんが熱演しているだけに、直視できないぐらいにつらいものでした。現実ではトランスジェンダーを含めた性的マイノリティの人たちへの理解は十分に広まっておらず、その実情を誤解されがちなだけに、それをあえて悲劇的に描き、「トランスジェンダーってやっぱりこうなってしまうんだ」というイメージを強めたのは作品として残念なところです。

“インタビュアー泣かせ”の一面も

もともと草彅さんは、筆者のような記者やライターにとっては、接しやすいけれど本音を引き出すのが難しいという、ある意味“インタビュアー泣かせ”の人でもあります。

最近も、『ミッドナイトスワン』の公開時、「役作りは特にしていない」と語り(『スッキリ』(日本テレビ系)のインタビュー)、『青天を衝け』についても「思い描く慶喜像は?」と聞かれて「まったくわからないんですよね。歴史を全然知らないので」と答えています(『ごごナマ』NHK総合)。

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