日本が誇る「高級パトカー軍団」鉄壁警護の子細 海外要人、総理大臣、皇族などVIPの盾

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車列の通過3分前を表す車両。多くの場合、青灯を装着するが、写真の大阪府警の車両は、前面警光灯も青灯に換装している(写真:有村拓真)
要人警護の主役といえば「SP」だろうか。時には身を挺してでも命がけで守り抜く……そんな危険な職務のため、多くの人の関心を引いてきた。今回紹介するのは、そんな彼らが警護の現場で駆る警護車についてだ。
警護車とは、その名のとおり要人を守るための警察車両(パトカー)。要人が乗るクルマを中心に、前後左右をガードし、突入してくる不審車などから警護対象車を身を挺して守る。その独特な威圧感、キビキビとした動きと鉄壁のフォーメーションを目にする機会はなかなかない。
ここでは、『平成〜令和新時代 パトカー30年史』を一部抜粋、再構成し、海外要人や総理大臣の警護、さらには皇室警衛など、警護・警衛の実例を振り返りながら、VIPの盾となるパトカー軍団を紹介する。

警護レベル最高峰、海外要人の車列

サミットやオリンピックといった国際イベントの開催時には、各国の要人が多数来日する。警察の警備・警護の実力が試される重要な場面だ。なかでも、アメリカ大統領やロシア大統領、中国国家主席といった高い警護レベルが要求される要人が来日するともなれば、かなり大規模な警備・警護が実施される。

最大2万人規模もの警察官が動員され、空港をはじめ宿泊地や行き先地、車列が走行する沿道、マンホール内などありとあらゆる場所の事前チェックが入念に行われる。

厳重な警備体制は要人がクルマで移動する際も同様だ。通過する経路の信号はすべて手動で操作され、一般車を排除したオールクリア状態にして、ノンストップで走行する。高速道路を通行する際も交通規制が実施されるので、経路上の料金所などは所轄警察署や高速隊などが一時的に閉鎖し、流入を抑制する。

アメリカ大統領専用車のリムジン(写真右)の後方をガードするシークレットサービスのシボレーサバーバン。写真左は警視庁のレクサス警護車だ。大柄なレクサスLSがコンパクトカーに見えてしまう迫力の車列(写真:有村拓真)

そして要人が乗るクルマ(警護対象車)を守るのが、警察の警護車たちだ。レクサスLSやセンチュリー、メルセデス・ベンツSクラスといった国内外を代表する高級車が車列を組み、要人を守る。警護車は緊急時に備えハイパワーで、いざとなれば盾となる堅牢性が求められる。そのためセダンタイプ以外に、ランドクルーザーといった大型のSUVがガードの車列に加わることもある。

車列の規模として最も台数が多いのはアメリカだ。随行の車両を含めると総勢50台もの規模にもなる。これは自国から大統領専用車や警護車、さらには救急車なども持ち込むためで、加えて日本の警察も白黒パトカーや遊撃車などを車列に加えるためこのような大規模な車列となる。

次ページ総理大臣や皇族の車列警護の内幕
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