【産業天気図・アパレル】消費低迷で終始「曇り」、高額衣料の苦戦目立つ
10年4月~9月 | 10年10月~11年3月 |
アパレル業界は2010年4月から1年間、終始「曇り」になりそうだ。低価格衣料を強みとする業態は堅調を維持するが、百貨店など高額衣料は引き続き苦戦を強いられそうだ。消費者の購買意欲が乏しい中で、前年度に鮮明となった勝ち組負け組の二極化構造は続く。
ファーストリテイリング<9983>の主力業態「ユニクロ」は既存店売上高が3月、前年同月比16.4%減と落ち込んだ。今10年8月期業績は営業増益を確保する見通しだが、成長鈍化は否めない。夏に向け本格展開する機能性肌着「シルキードライ」と「サラファイン」が、前期比約2倍の計画を達成できるかなど、商品開発やプロモーション面での展開が高成長回復のカギを握る。
業界2位のしまむら<8227>は、前期に品切れを起こした機能性PB衣料「ファイバードライ」、「ファイバーヒート」を前期の3倍となる5000万点以上を展開する方針。同商品の製造量を拡大することでボリュームメリットも享受でき、利益面にも貢献する見通し。
一方、紳士服業界は引き続き厳しい。総合スーパー(GMS)のイオン<8267>が7800円の新スーツの展開を開始したほか、西友も5000円のスーツを販売するなど低価格化が進行している。紳士服最大手の青山商事<8219>は、最大の書き入れ時となる3月の既存店売上高が客数減と単価低下で同8%減と苦戦した。購買数が景気に左右されにくいと言われる3月のフレッシャーズ商戦で減収となった痛手は大きい。GMSに客を奪われ、同時に低価格攻勢でさらなる単価下落も余儀なくされており、厳しい一年となりそうだ。
百貨店を中心に高額衣料を展開するオンワードホールディングス<8016>やワコール<3591>も、百貨店の売り上げ回復が見込めず低迷が続く。ただ、年明けからユナイテッドアローズ<7606>やサマンサタバサ<7829>など、中高価格帯の専門店は好調に推移している。ユナイテッドアローズは、丈の短いスーツを発売し、若者に新たなトレンドを創出、同商品の販売が好調で収益を押し上げているという。市場に認められる新たな価値を生み出せば、高額衣料業態でも業績が上向く可能性もありそうだ。
(鈴木良英)
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