ワクチン接種した日本人医師が「伝えたいこと」 ニューヨークで接種、50日以上が経過したが…

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これまで報告されている研究の結果を見てみると、副反応は私のように注射部位に痛みが出る人が最多ですが、同僚のように発熱などの症状も報告されています。報告された副反応の種類と頻度は、だるさ・倦怠感(51~59%)、頭痛(39~52%)、筋肉痛(29~37%)、関節痛(19~22%)、発熱(11~16%)です。

また、基本的に2回目のほうが1回目よりも頻度が多く報告されています。このため、1回目で問題なかったという方でも2回目に副反応が出ないか慎重に観察していただくことが大切です。

加えて、高齢者の方は若者に比べて、こうした副反応が少ないことがわかっています。しかしながら、高齢者で持病がある方の場合には、高い熱が1日出るだけでもご飯が取れなくなってしまったり持病が悪化したりすることもあるかもしれません。

ワクチン接種翌日などに体調を崩した場合には無理をせず、十分な休養をとり、またご心配なことがあればかかりつけの医師によく相談していただくことも大切です。ただ、いずれの場合においてもほとんどが軽度から中等度の症状で数日以内に改善し回復することが報告されていますので、あまり深刻なことが起こる可能性は低いと安心していただいてもいいのではないかと思います。

すでに自分のワクチン接種からは50日以上が経過しました。50日が経過した今も、大きな副反応なく経過をしています。

何より、このワクチンの一番の魅力は誰もが想像をしなかったほどの高い有効性です。その安心感は、もう一層の頑丈なマスクを与えてもらっているような、とても大きなものです。もちろん、まだマスクも、手洗いも続けなくてはいけませんが、それでもなお、ここまで1年間少なからず抱えてきた不安を大きく取り除いてくれるものでした。

また、このワクチンには、重症化を防ぎ、命を守る効果も期待され、有効性が少なくとも半年ほどは持続しそうだというところまでわかってきています。

日本でワクチンを待つ皆様へ

もちろん、さまざまな価値観を持つ人がいる中で、私は皆さんに接種をしろと言うようなつもりはありません。ただ、各報道などでリスクばかりが取り上げられやすく、どこか膨張してしまっていることには注意を払う必要があると思います。

また、ワクチンを受けることには、自分自身を守るという意義はもちろんのこと、これまで日常生活の中で感染リスクを共有してきた、自分の身の回りの大切な人、両親や上司、友人を守るという意義もあります。

この1年、つねに消えない不安と誰もが戦い続けてきたと思います。

ワクチンはその不安や苦しみを緩和できるよう、世界中の研究者が協力して作り上げてきた叡智の結晶です。

感染リスクを共有して生活をする中、ワクチンの輪を広げ、皆で皆を助け合う。そんな気持ちでぜひワクチンの接種を前向きに考えていただければと思いますし、何より最後は誰もが納得できる形で決断をしていただければそれが一番だと思っています。

山田 悠史 米国老年医学・内科専門医

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やまだ ゆうじ / Yuji Yamada

慶應義塾大学医学部を卒業後、日本全国の総合診療科で勤務。現在は、米国ニューヨークのマウントサイナイ医科大学老年医学科で高齢者診療に従事する。フジテレビ『FNN Live News α』のコメンテーター、 WEBマガジン『ミモレ』やニュースメディア『NewsPicks』の連載の他、コロナワクチンの正しい知識の普及を行う一般社団法人コロワくんサポーターズの代表理事、カンボジアではNPO法人APSARAの常務理事として活動。著書に『最高の老後 「死ぬまで元気」を実現する5つのM』(講談社刊)、『健康の大疑問』(マガジンハウス新書)がある。Twitter:@YujiY0402

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