ジェフ・ベゾスも使った「ループ図」の破壊力 物事の本質を描き未来を創造するテクニック

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そして、「第3の場所」が素晴らしいものになれば、それに共感する人が「スターバックスで働きたい」という思いを抱き、パートナーとして事業に参画してくれるという流れも生まれる。結果的に「People Business」へとつながる好循環が生まれているのだ。

このように関係性を丹念に考え、書き足したりグルーピングを行ったりすることで、事業全体を隅々まで理解することができるのである。

未来を創造する3ステップ

十分に関係性を理解したら、全体を改めて俯瞰しよう。アマゾンのジェフ・ベゾスが見出だしたような好循環する自己強化型のループを、目の前の図の中に発見するのである。

例えば、描いた図を整理しなおすことで、新たな「ループ」の図を描くことができる。

出所:『武器としての図で考える習慣』

この中には複数の「自己強化型のループ」が存在している。「第3の場所」「People Business」という価値へのこだわりがいかに重要かということ、スターバックスの成功の秘訣は、まさにそこにあるということもはっきりと理解できるはずだ。

スターバックスの実質的創業者ハワード・シュルツは、このようなイメージを頭の中に描きながら、ビジネスの構造全体を緻密に把握し、事業を拡大していったと思われる。

(1)要素を書き出して、(2)関係性を考え、(3)自己強化型ループをハッキリさせる。この3つのステップを踏むことで、新しい価値を生み出すための視野とヒントを得ることができるのだ。そこに存在している勝利の好循環を、明らかにしくれる「ループ」の図。思考の武器として取り入れてみてほしい。

(構成:泉美木蘭)

平井 孝志 筑波大学大学院ビジネスサイエンス系教授

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ひらい たかし / Takashi Hirai

東京大学教養学部卒、同大学院理学系研究科修士課程修了。マサチューセッツ工科大学(MIT)MBA。早稲田大学より博士(学術)。ベイン・アンド・カンパニー、デル(法人マーケティング・ディレクター)、スターバックス(経営企画部門長)、ローランド・ベルガー(執行役員シニアパートナー)などを経て現職。コンサルタント時代には、電機、消費財、自動車など幅広いクライアントにおいて、全社戦略、事業戦略、新規事業開発の立案および実施を支援。現在は、経営戦略、ロジカル・シンキングなどの企業研修も手掛ける。早稲田大学経営管理研究科客員教授、キトー社外取締役、三井倉庫ホールディングス社外取締役。著書は『本質思考』他多数。

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