「メリーチョコ」が70年も日本人に愛されるワケ バレンタインデー「告白チョコ」の生みの親
2021年バレンタインのラインナップとして昨年12月26日に発売し、SNSで「プチバズる」現象を起こしたのが、「はじけるキャンディチョコレート。」だ。メリー公式オンラインショップや店頭での品切れも起こり、「どこへ行けば買えるのか」などと問い合わせが多数寄せられたという。今も、メルカリにプレミア価格で販売されているなど、話題になるごとに在庫切れとなる状態のようだ。
昔懐かしい喫茶店で出されるような色とりどりのドリンクをイメージした、はじけるような食感が特徴のチョコで、同社の昔のロゴを起用したレトロなデザインもさることながら、5個入り378円という親しみやすい値段も相まって、若い世代から支持を集めた。
「ただ、うわべだけの“レトロ”でないところが評価された理由になっているのかなと考えています。当社は昭和に誕生し、昭和の雰囲気も自信を持ってデザインできる。そうした長く根付いてきたものをチョコレートに表現できたことが大きいのではないでしょうか」(広報担当者)
また、挑戦の意味が込められた商品でもある。これまで同社のバレンタインラインナップは多くは“誰かに贈るため”の商品だけで構成してきたのに対し、この「はじけるキャンディチョコレート。」は今回初めて、“自分が楽しむ用”として新たに商品開発。
今年は「JI-KO-CHUバレンタイン」
2021年のバレンタインデーでは、楽しみが絶対的に不足しているコロナ禍のバレンタインデーということで、「JI-KO-CHUバレンタイン」と位置づけた。自己中、つまり純粋に自分自身のためにチョコレートを楽しむということだ。キャンディチョコレートのはじけるような食感でワクワク、ドキドキしてもらいたいという思いが込められている。
もともと近年では、バレンタインチョコの志向は同社が始めた「誰かにあげるため」から、「自分へのごほうび」へと移行してきていた。自分の体験を共有できる、SNSの浸透とも関係があるだろう。
さらに2021年の2月14日は日曜日にあたり、会社や学校に行かないため義理チョコの必要もない。コロナ禍なので一人で過ごす人も多いと見られる。こうした見通しに基づき、今回のコンセプトが決まったそうだ。
以上に紹介してきたように、もともと新しいものへの追求を行ってきた同社。今後はさらに、チョコレート=お菓子という枠組みを超えて提案を行っていくようだ。その意気込みを象徴するのが、2020年10月よりスタートした「メリーズラボ」というウェブサイトとインスタグラムだ。20〜30代女性を想定ターゲットに、空間や美容、料理、ファッションなど、暮らしとのチョコレートのコラボレーションを提案する。
その第1弾として展開しているのが、お香との組み合わせだ。カカオの産地をイメージしたお香を調合師に依頼し、新たに調合して製品化。チョコレートを味わうのによりふさわしい空間を、香りによって表現した。共に味わうチョコレートは何でもよいようだが、産地の異なるハイカカオのチョコレートを詰め合わせた「ハイカカオセレクション」を、お香をたきながら食べるのがおすすめだそうだ。
こちらは「大きな売り上げではないが、興味を持ってくれる人がじわじわと増えている。在宅もあり、家でチョコレートとお香で心豊かに過ごすニューノーマルなチョコレート習慣が広まりつつある」(広報担当者)とのこと。ハイカカオチョコレートとの組み合わせはとくに人気があるようだ。
量・質ともに活況を見せているチョコレート市場。国内の他のメーカーや職人たちも、さまざまな取り組みを進めてきている。同社にとっては、自社の取り組みをいかにブランディングし、訴求できるかということがカギになりそうだ。
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