実は、コロナワクチンの副反応は、新型インフルワクチンとは比べものにならない。特に接種後の炎症反応は強い。
例えば、アストラゼネカのワクチンの臨床試験では解熱剤であるアセトアミノフェン1グラムを6時間おきに内服することになっていた。1日の総投与量は4グラムだ。日本での常用量は1回0.5グラム程度で、1日4グラムは最大許容量だ。関係者が、当初から強い炎症反応が生じることを予想していたことがわかる。
副反応はアストラゼネカのワクチンに限った話ではない。昨年11月18日、アメリカの科学誌『サイエンス』は、ファイザーとモデルナのワクチンの接種には、強い痛みと発熱を伴うことを紹介する記事を掲載した。この記事によれば、接種者の2%弱が、39度以上の高熱を生じている。
モデルナの臨床試験に参加した43歳の人物は、接種部位が「ガチョウの卵」のサイズまで腫脹し、38.9度の発熱があり、筋肉と骨が激しく痛んだと言う。この人物は、「一晩中電話の前に座り、救急車を呼ぶべきか迷った」そうだ。この症状は12時間続いたという。
このような炎症反応が高齢者に生じた場合、基礎疾患が悪化し、致命的になることがあってもおかしくはない。ノルウェーの死亡例の中には、そのようなケースがあった可能性もある。
臨床結果を見る限り極めて有望なワクチン
もちろん、コロナワクチンには私も期待している。昨年11月に発表された臨床試験の中間解析結果で、ファイザー・ビオンテックのワクチンは90%、モデルナは94%、アストラゼネカは70%の有効性が報告され、短期的な有効性は、われわれの期待を大きく上回った。長期的な安全性・有効性は、現時点で評価できないが、臨床試験の結果を見る限り、極めて有望なワクチンだ。
ただ、問題は、このような臨床試験の参加者は基本的に若いことだ。ファイザーの臨床試験の場合、参加者の年齢中央値は52才だ。さらに重度の合併症を有さない。この結果を、基礎疾患を有する高齢者にあてはめるのは慎重でなければならない。
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