コロナワクチン「極めて有望」も見逃せない事実 接種に副反応リスクがあるのはどんな人たちか

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では、どうすればいいのか。

私は、現役世代および合併症がない高齢者にはコロナワクチンの接種を推奨するが、合併症を有する高齢者は、リスクについて説明し、生活環境や全身状態を考慮して、総合的に判断するしかないと考えている。独居老人と高齢者施設で集団生活をしている人の感染リスクを同列に論じることはできないし、どこまでワクチン接種のリスクを受け入れるかは、それぞれの価値観で異なってくる。一律に論じることはできない。

幸い、日本は欧米諸国よりワクチン接種開始が3カ月遅れている。今春以降、日本で高齢者へのワクチン接種が始まるまでに、ワクチンの安全性について、相当のことがわかるはずだ。

高齢化の進んだ国の先行例を見よ

例えば、ロイターは1月26日に「イスラエル当局は、ファイザー製ワクチンを接種したイスラエル人に深刻な副反応は生じていないと発表」という記事を配信した。嬉しいニュースだ。ただ、イスラエルの高齢化率(65才以上人口の割合)は12.2%で、タイやシンガポールと同レベルだ。高齢化率が28%で世界一高齢化が進んだ日本にとって、どの程度参考になるかわからない。ちなみにノルウェーの高齢化率は17.3%だ。イスラエルよりは老いているが、日本よりははるかに若い。やがて、イタリアやドイツなど高齢化が進んだ国からも安全性について何らかの発表があるだろう。そのような最新情報をベースに判断すればいい。

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かくの如く、高齢者にとっての、コロナワクチンの安全性は十分に検討されていない。公衆衛生の見地に立てば、高齢者といえども、ワクチンで感染を防ぐことで救われる命は、副反応で亡くなる人よりはるかに多いだろう。政府がワクチン接種を推奨するのは、この意味で合理的だ。ただ、臨床医は目の前の患者がすべてだ。

私は、現状では高齢者に一律にコロナワクチンは推奨できないと考えている。それぞれの状況に合わせた個別対応が必要だ。少しでも不安をお感じの方は、是非、主治医に相談してほしい。

上 昌広 医療ガバナンス研究所理事長

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かみ まさひろ / Masahiro Kami

1993年東京大学医学部卒。1999年同大学院修了。医学博士。虎の門病院、国立がんセンターにて造血器悪性腫瘍の臨床および研究に従事。2005年より東京大学医科学研究所探索医療ヒューマンネットワークシステム(現・先端医療社会コミュニケーションシステム)を主宰し医療ガバナンスを研究。 2016年より特定非営利活動法人・医療ガバナンス研究所理事長。

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