見逃せないのは、多くの高齢者が、ワクチン接種後、数日の間で亡くなっていることだ。ノルウェーでコロナワクチンの接種が始まったのは昨年の12月27日だ。少なくとも23人が接種後2週間以内に亡くなっていることになる。余命幾ばくもない病人にワクチンは打たないだろうから、亡くなった人の多くは接種時には体調はよかったはずだ。急死といっていい。ノルウェー保健当局の「死亡者の多くが施設入居の高齢者で、その平均余命は短い」という理屈で、今回の死亡を説明するのは苦しい。
実は、高齢者へのワクチン接種の危険性が注目されたのは、今回が初めてではない。2009年の新型インフルエンザの流行時にも同様の問題が起こっている。われわれが厚労省の公開データを分析した研究をご紹介しよう。
このときは2009年10月19日から12月21日までの間に約1500万回の新型インフルワクチンが接種されたが、1月7日現在、107例の死亡例が報告された。98例が60才以上で、全例が基礎疾患を有していた。
死亡例のほとんどが接種後4日以内
興味深いのは死亡のほとんどが接種後4日以内に起こっていることだ。接種から時間が経っての死亡例が厚生労働省に報告されなかった可能性は否定できないが、当時、新型インフルワクチンは社会の関心を集めており、死亡宣告した医師はワクチン接種後、1~2週間に亡くなっていれば、厚労省に報告していただろう。何らかの関連があると考えたほうがいい。
これまた見逃せないのは、22例の死因が基礎疾患の悪化として処理されていたことだ。このあたりノルウェーの報告と同じである。ワクチン接種時には体調は問題なかったが、接種を契機に基礎疾患が急速に悪化したこととなる。
このことは、日本国内では問題とならなかったが、われわれの研究はアメリカ臨床感染症雑誌(CID)に掲載された。臨床感染症の分野で世界最高峰の学術誌である。世界の専門家が、高齢化がもっとも進んだ日本で、高齢者を対象に集団接種を行った場合、どのような問題が起こりえるか、関心を抱いたのだろう。
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