「黒いインフルエンサー」が使う超典型的な技術 「扇動情報」から自分を守るために必要な知識
経済の動き、社会の変化、流行の始まりと終わり。すべてのことは、人々の心理と深く関係しています。権力者やメディアが群集心理をコントロールするために使うテクニックのからくりを学ぶことで、あなたは彼らが望んでいる群集心理の向かう方向を予測し、冷静で客観的な判断が下せるようになるのです。
事実を捻じ曲げる「ハイピング」
「ハイピング」とは、「うそをつくこと」です。
私たちは子どもの頃から「うそはつくのはいけないこと」「うそはいつかバレる」と教わってきました。しかし、プロパガンダ分析研究所のデータによると、プロパガンディストたちは多種多様のうそをつき、ハイピングによって人々を動かしてきたのです。
「うそはいつかバレる」と言われますが、心理学の研究によると表情の変化を見抜く訓練など、特殊なトレーニングを積んでいない一般の人が相手のうそを見抜ける確率は54%だという結果が出ています。つまり、話し手がつくうその半分は見抜かれることなく、聞き手に伝わっていくわけです。
プロパガンディストたちが使うハイピングは、この認知の性質を利用し、事実の中の一部をねじ曲げる、誇張する、有利な証言だけを強調するなどして、人々を動かしてしまうダークなテクニック。彼らが巧妙なのは、聞き手が聞きたいと願っている情報を事実の中に紛れ込ませていくところです。
というのも、プロパガンディストたちは「人には自分の信じたいものを事実だと思い込む傾向」があることも知っています。ですから、相手の求めているうそを事実に紛れ込ませることで、仮に聞き手が「これはうそかもしれない」と感じても、「いや、信じたい、信じられる」と考えることを見越しているのです。
こうして意図的に練り上げられたうそはほとんどの場合、バレません。
そこで、よく使われる情報発信の仕方の1つが、「オミッション」。事実の一部を省略し、強調したい情報を際立たせる手法です。
例えば、新型コロナウイルスに関するニュースでは、回復して退院した患者数よりも、1日で新たに増えた感染者数の発表がクローズアップされてきました。とくに民放の情報番組やワイドショーでは、感染者数の増加と症状の危険性を伝える場面が目立っています。