あの串カツ田中が放つ「とっておきの秘策」 2021年度は種まきの年、鍵を握る冷食と新業態

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串カツ田中は2023年11月期に売上高を180億円とする計画を発表している。今後3年のうちに2020年11月期比で倍増させるわけだ。中期的な成長を見据える中、今2021年11月期の重点目標の1つとしているのが「新たな価値の創造」。そのための一丁目一番地がイートイン以外の販路の強化と多角化だ。

コロナ禍で店内飲食の売り上げ回復が遅れる中、同社は「冷凍串カツ」の卸売りで新たな販路を開拓した。2020年4月には食品宅配サービス「Oisix」を利用して初のEC(ネット通販)を開始。2021年1月までに20万本を売り上げた。

ほかにも2020年5月には「オオゼキ」、6月には「まいばすけっと」、11月には「ライフ」などのスーパーマーケット、2021年2月には生協系の「コープこうべ」といった宅配など、販売先を次々に切り拓いていった。今年4月には自社ECサイトを立ち上げ、冷食事業に本腰を入れる構えだ。

「(大阪王将を手がけるイートアンドのように)冷食と外食でうまくいっている企業はある。(冷凍串カツの潜在的な市場規模も)100億円に近い数字はあるのではないか」。貫社長はそう期待感を示す。

食品工場の買収や新設も視野に

冷食事業をより盤石なものとするために食品工場の買収や新設なども視野に入れる。現在は協力工場に委託している冷凍串カツの製造を内製化する考えだ。内製化のタイミングは「卸売りでの売り上げをもう少し緻密に見てから」(坂本取締役)とするが、虎視眈々と狙っていることは間違いない。

串カツ田中HDの貫啓二社長は「(今後は)成長カーブをさらに伸ばしていく」と意気込む(記者撮影)

元々同社では、ほとんどの串カツを店舗で仕込む。野菜などのメニューは串打ちした瞬間から品質が落ちていくからだ。

そのため卸売り用の冷凍串カツで使う串は、豚肉やチーズなど冷凍しても品質や味がほとんど変わらない種類に絞って展開している。仮に、工場を内製化してスーパーなどでの売れ行きが芳しくなかったとしても、味の面からも問題なくテイクアウト用など店舗で販売ができるため、工場が無駄にならないという。

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