西浦教授が懸念、ワクチン開始後の「第4波」 中盤戦以降のコロナ禍といかに向き合うか

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――現在のように、都市部のほぼ全人口がリスク対象であるときには、全員に対して数日に1回の検査を続けるというのは、検査や医療のキャパシティから言っても非現実的ですね。

その通りだ。しかし、流行が非常に収まってきて、感染の可能性が局所的で極めて小規模の集団に限定されるようになったときには、検査を繰り返すのは現実的にも有効なオプションの1つかもしれない。

例えば、どこかの街の繁華街や施設などに感染リスクが限定されてきたといった状況になれば、ほかのコロナ対策と一緒に、そうした局所で繰り返しの検査を行えば、新型コロナを消すというオペレーションをやるうえで役立つ1つの武器になるかもしれない。もっとも、その際も全対象者を巻き込んで複数回繰り返す検査でないといけないし、陽性者の徹底した2次感染防止策をどう社会に実装するか、という大きなハードルがある。

――そこまで感染リスクが局所的・小規模集団になるのはかなり先のことになりそうです。また将来、頻回の検査が出番になったとしても、検査に対しては「個人の自由」の立場からの抵抗があります。

昨夏、東京・新宿で集中的な検査が行われたことがあった。そのときは、行政が検査センターを設置して、呼び掛けた住民が来てくれるのに任せていた。「検査は個人にとって便益があるものだ」という認識の下では、自由意志に任せるしかない。

社会実装に大きな課題

だが、先ほど話した同一人物の頻回検査でコロナを収束させるという議論は、社会における流行抑制というパブリックな目的だ。それを踏まえながら、地域の行政が果たして検査を実装するのかということ自体に関して、それを推奨したり実装したりする立場の者が具体的なオペレーションの方法を議論することが求められる。

日本は、昨春は行政検査のキャパシティが低かったことで知られる。加えて、入院や療養のスペースが極めて限られていた訳なのだから、検査陽性時の2次感染予防を工夫して考えないといけない。私はこの課題では専門家の議論に中心的に関わっていないのだが、実装には相当の努力を要すると思う。

また、強制力を持たせないと頻回検査をできないのかわからないが検討を要するだろう。流行サイズが大きすぎる現状では考えにくいオプションだが、局所的にハイリスクの環境下にある住民が「一旦、流行を終わらせたい」と強い意志を持って検査を行う状況が作れるなら、考えうる対策オプションの1つであることは間違いない。オペレーション現場での実現は公衆衛生行政と本課題を推奨する意志を持つ専門家に課せられた1つの挑戦だと思う。

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