SBIが「マネックス・新生」提携にぶちまけた不満

実績と品揃えは圧倒的だが提携は実現せず

しかも、SBIHDは新生銀行の株式を11.3%保有する筆頭株主(自己株口を除く)だ。新生銀行もSBIグループが主導する形で2020年8月に設立した地方創生パートナーズに出資しており、両社の関係は良好とみられていた。それだけに、新生銀行の最終的な選択(マネックスとの提携)に大きな驚きと落胆があったはずだ。

2020年6月、地方創生パートナーズへの出資で新生銀行の工藤英之社長(中央)もSBIHDの北尾社長とともに会見に出席した(記者撮影)

マネックスは目下、株式の売買ごとに仲介手数料を得て稼ぐ事業モデルから、預かり資産×一定の手数料で得られる固定報酬を継続的に得る「アセットマネジメントモデル」への転換を進めている。預かり資産残高の多寡が収益に直結するため、残高拡大が喫緊の課題となっている。

マネックス証券の足元の預かり資産残高は約4.7兆円(2020年12月末時点)。一方の新生銀行と新生証券は5000億円近い(投資信託2867億円、仕組み債で2079億円)預かり資産を抱えている。

新生銀行が提携を決めた「理由」

対面で資産運用に関するアドバイスをしてほしいという顧客のニーズに応えるため、マネックスは2020年6月にIFA事業に参入。しかし、コロナ禍の影響もあって契約業者数、預かり資産ともに先行しているSBI証券や楽天証券と比べて伸び悩んでいた。

今回の提携で、約5000億円の預かり資産はマネックス証券の口座に移管される。これによってマネックスの資産残高は約1割増えるほか、将来的には新生銀行が持つ拠点を通じた販売網の拡大が図れる。提携の恩恵は大きい。マネックスは今回の提携を皮切りに、同様のスキームで提携を拡大させる方針。松本大・マネックスグループ社長は「地銀さんやその子会社の証券会社に横展開していく」と話す。

新生銀行は今回の提携について「コスト削減よりもラインナップ拡充に比重がある」と説明する。「例えば、新生証券では個別株式の取引やIPO(新規株式公開)の取り扱いがない。ネット証券との提携でサービスを拡充していきたい」(広報)という。

だが、純粋な金融商品のラインナップの多さやIPOの充実度ではSBIに軍配が上がる。SBI証券が2020年1月~12月に取り扱ったIPOの社数は85社。マネックス証券は50社だった。投資信託の取り扱い本数でも、1171本のマネックス証券に対して、SBI証券は2658本と2倍以上の差がある。

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