野村HD社長が「部門」を口にしない根本理由

グループ全体の力でどこまで差別化できるか

奥田健太郎社長は「(今後は)ビジネスの基盤自体が変わってくる」と述べた(写真:野村ホールディングス)
野村証券は2019年に顧客をニーズ別に「法人オーナー」「富裕層」「マスアフルエント(準富裕層)」など大きく4つの層に分けて、接触頻度や接触の仕方を変える個人営業の抜本改革を実施。営業体制を刷新して迎えた2020年には新型コロナウイルス禍による対面営業の自粛や、株価の急上昇など、急激な変化の波が押し寄せた。
今後に向けた展望を野村ホールディングスの奥田健太郎社長に聞いた。

 

――2020年12月1日に行われた投資家向け説明会で「野村を次のステージへ」と発言しました。

野村はもともと、売買の都度手数料を得るブローカレッジ中心でやってきた。売買中心でというお客様はいらっしゃるので継続していくが、今後は全資産を預けていただくような方については、アドバイザリー(投資助言)でしっかりお手伝いしていく。

マスアフルエント(株式やファンドラップなどにニーズがある顧客層)の領域は、これまでは支店でお待ちしていたところからデジタルを使った営業にしていく。LINE証券(野村ホールディングスが49%出資)もその中の1つの施策だ。

ホールセール(法人向け営業)のところもかなり変わってきた。(株式や社債などの)大きな引き受け業務でも、しっかり引き受けて全国でくまなく販売できるというのが野村の強みだった。

それだけではなく、お客様の資産全体に対するアドバイスをできるようなビジネスに変えていく。機関投資家にはプライベート、例えば私募の投資信託で運用していただくといった提案をしている。

こうした取り組みによって、今までとはビジネスのプラットフォーム(基盤)自体が変わってくる。これらをまとめて「次のステージ」と言っている。

今は発行体側に悩みが少ない

――これまでは発行体の側の視点で動いてきたが、今後はお金の出し手である投資家のサイドの視点を中心に考えていくということですか。

かつて金利が高かった時には、なるべく低い金利で調達したいといった悩みが、発行体側にあった。ただ、今は超低金利だ。発行体側には悩みが少なく、(資金)調達はある程度やりやすい環境になっている。

むしろ運用をしている人のほうが困っている。こちら(運用)側のニーズに基づいてわれわれも動いていったほうが、お客さまの課題解決になり、ビジネスにつながるだろうと考えている。

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