野村証券が規制緩和に違和感を抱く決定的理由 「ファイアーウォール規制」の緩和は是か非か
「お客様の目線」が抜け落ちている
――ファイアーウォール規制の緩和をめぐって金融業界の意見が割れています。しかし、結局のところ規制緩和を進めたい銀行と、既得権益を守りたい証券の争いなのではないですか。
「10年に1回の伝統の1戦ですね」と言う人がいるんですけど(笑)。外から見ているとそう思うのかもしれないが、少なくとも私はそんな意識はない。
銀行対証券で業際問題になったのは30年前の話だ。そのころから考えれば、銀行も証券も大きくビジネスモデルが変わった。今では、銀行同士、証券会社同士を比較してもそれぞれやっているビジネスは大きく異なる。銀行や証券をひとくくりにして、(互いの業務がかぶる)業際問題として捉えることはできない。
このタイミングでファイアーウォール規制の議論を始めたのは、私たちではない。ただ、われわれは資本市場から糧を得ているし、お客様とのビジネスで成り立っているので、どうでもいいというわけにはいかない。
そこで、私たちは、(規制緩和の議論には)お客様の目線が抜けていませんか、資本市場の健全性を阻害するような懸念がありませんか、と問いかけている。きちんとした議論をしてほしいだけだ。
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