SBIが「マネックス・新生」提携にぶちまけた不満 実績と品揃えは圧倒的だが提携は実現せず
また、金融商品仲介の仕組みを使った提携の経験値も高い。SBI証券が抱えるIFA経由の預かり資産(地銀との共同店舗からの預かりを含む)は2020年12月末時点で約1.9兆円。2位の楽天証券(約0.7兆円)を大きく突き放している(マネックス証券はIFA経由の資産残高を非開示)。SBI証券の高村社長が「商品群やIFAの実績は圧倒的」と言うのもそのためだ。
SBIHDは株式の買い入れを通じて新生銀行との”距離”をじわじわと詰めてきたという経緯もある。同社が提出した大量保有報告書によれば、本格的な買い付けを始めたのは2019年12月から。それ以前から4%前後の株式を保有していたとみられるが、計59回に分けて小口の買い付けを繰り返し、約1年かけて2020年12月に11.3%を保有する新生銀行の筆頭株主となった。
この株式取得について、SBIHDの北尾吉孝社長は、「純投資」「(平均取得価格を下げるための)ナンピンで買っているだけ」と繰り返してきた。ただ、マネックスが提携に向けた対話を本格化させたのが発表から「1年ほど前」(松本氏)というから、SBIによる株式の取得は、新生銀行との提携を見据えたものだった可能性もある。
「会社の将来がよくわかる」
今回の提携について、マネックスグループの松本社長は、「われわれは銀行さんの裏に入って黒子に徹し、支えていくという提案をしていた。それが評価されたのではないか」と分析する。ちなみに、松本氏は2008年から2011年まで新生銀行の社外取締役を務めた経験がある。新生銀行とはSBI以上に”旧知の仲”でもある。
1月29日の会見で、マネックスと新生銀行の提携について問われた北尾氏は「別になんとも感じない」と多くは語らなかったが、「こういうの(提携)をみていると経営者や会社の将来がよくわかる」とも述べた。
北尾氏は2020年6月にも約18%(当時)の株式を保有する福島県の大東銀行に対して「筆頭株主になったのにあいさつにも来ない。このままあいさつがなかったら次の株主総会で全役員(の選任)に反対票を投じる」と喝破するなど、出資先に対する強気の姿勢で知られる。
SBIHDは現時点でも10%以上の株式を保有する新生銀行の筆頭株主だ。さらなる波乱があるかもしれない。
記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
印刷ページの表示はログインが必要です。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
無料会員登録はこちら
ログインはこちら