菅首相、緊急事態宣言の延長で謝罪連発のわけ 3月7日までが政権の命運かけた勝負の1カ月に

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その場合、3月下旬の福島を起点とする聖火リレーの前に、東京五輪・パラリンピックの開催を決められる可能性も出てくる。そうなれば、政界の一部で浮上している4月政変説も消え、ここにきて急低下していた菅首相の求心力も回復する。

東京五輪開催については2日、東京五輪組織委員会会長の森喜朗元首相が「無観客開催も選択肢」との認識を示した。これについて菅首相は、「今後、内外の感染状況も勘案しつつ、安心安全の大会にすることを最優先に検討したい」と明確な言及を避けた。

五輪強行なら激しい政権批判も

無観客開催については「参加国数も少なく、国際的にも正当な五輪とは認められない」(JOC関係者)との声も少なくない。最近の世論調査では、国民の8割以上が五輪の中止か再延期を求めている。「強引な開催決定はかえって政権批判につながる」(閣僚経験者)ことにもなりかねない。

五輪開催のカギを握るワクチンも、4月からの高齢者接種が順調に進む保証はない。日本のワクチン接種は世界の主要各国に比べ、周回遅れとなっている。「日本が各国に一気に追いつくのは不可能」(ワクチン専門家)との悲観論も多い。

「夜の銀座」への国民的批判も収まる気配がない。公明党は2日、遠山清彦前幹事長代理の議員辞職により、同氏が出馬予定だった衆院神奈川6区への候補擁立を断念した。二階俊博自民幹事長は「自民党としての与党候補擁立」を目指すとしているが、「勝てる候補者を立てられるかどうかは未知数」(地元県連)だ。

さらに、「夜の銀座」で事実を隠そうとし、離党に追い込まれた自民党の松本純前国対委員長代理(神奈川1区)、大塚高司前衆院議院運営委員会理事(大阪8区)、田野瀬太道前文部科学副大臣(奈良3区)についても、自民党は後任候補擁立に口を濁している。

自民党内には「次期衆院選には無所属で出馬させ、当選したら復党」(選対幹部)との声もある。しかし、その姿勢そのものが「反省しない自民党」との批判を招き、選挙での逆風につながる可能性も大きい。

菅首相が3月までの勝負の1カ月で、相次ぐ難題を乗り越えられるか。「すべての責任を背負う」と言い切っただけに、政権の命運は桜の開花宣言のころには決まることになりそうだ。

泉 宏 政治ジャーナリスト

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いずみ ひろし / Hiroshi Izumi

1947年生まれ。時事通信社政治部記者として田中角栄首相の総理番で取材活動を始めて以来40年以上、永田町・霞が関で政治を見続けている。時事通信社政治部長、同社取締役編集担当を経て2009年から現職。幼少時から都心部に住み、半世紀以上も国会周辺を徘徊してきた。「生涯一記者」がモットー。

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