菅首相、緊急事態宣言の延長で謝罪連発のわけ 3月7日までが政権の命運かけた勝負の1カ月に

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これに先立ち、政府は2日午後、基本的対処方針等諮問委員会に宣言延長の方針を示し、了承された。同日夕には衆参両院の議院運営委員会で菅首相自らが事前報告し、「何としても感染拡大を阻止したい」と各党の協力を要請、同夜の政府対策本部で宣言延長を正式決定した。

宣言延長に伴い、観光支援策「Go To トラベル」の全国停止や、外国人の新規入国禁止などの措置も継続となった。

菅首相は初めて出席した衆参議運委で、自民、公明両党の幹部議員が緊急事態宣言下で銀座のクラブに出入りし、議員辞職や離党を余儀なくされたことを「大変申し訳ない」と陳謝した。

プロンプター使用に漂う「痛々しさ」

一方、菅首相自身が2020年12月に銀座で「8人ステーキ会食」に参加したことについては、「大いに反省しているが、緊急事態宣言も出ていなかったし、会食自粛も午後10時までだった」と苦しい釈明に終始した。

菅首相の正式な記者会見は今年に入って4度目となる。2日はNHKの主要ニュース報道が終わる午後7時40分から始まるため、「記者団の質問に徹底して答えるのでは」との臆測も出ていたが、質疑時間は約40分間にとどまった。

プロンプターを初めて使ったことについて、首相周辺は「下を向いてメモを読むのでは国民に伝わりにくい、との秘書官らのアドバイスに従った」と説明。「すべての責任は私」のくだりでは、目を見開いて前方のテレビカメラを見据えて語るなど、「国民に訴える力が増した」(側近)のは事実だ。

ただ、プロンプターに不慣れのためか、顔を左右に向けて文字を読む様子が目立ち、「不得手なことを強いられる痛々しさ」(有識者)もぬぐえなかった。

宣言延長により、3月7日までが菅首相にとって「政権の命運もかかる勝負の1カ月」(自民長老)となるのは間違いない。感染が再拡大の恐れがない水準まで抑え込まれ、ワクチン接種が早期開始となれば、「反転攻勢のきっかけをつかめる」(自民幹部)ことになる。

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