コロナ禍で人々を苦しめる2つの不安の「正体」 不安に押しつぶされる前に原因を突き止めよう

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でも、これからの時代は、上からの命令に従ったとして、その命令が間違っていたときには、誰も助けてくれませんし、自分の代わりに責任をとってくれることもありません。そういう意味でも、自己責任の範囲が広がっているのです。

そして、いま私たちが抱えている共通の不安の2つ目にして最大の不安は、「生活していかないといけない不安」です。

時代が変わり、社会が変わり、会社が変わり、働く意味が変わり、学歴社会が終わったとしても、私たちには日々の生活があります。生きていくには、家族がいれば家族を養っていくには稼いでいかないといけない。「この先自分はちゃんと生活費を稼いでいけるのか?」という不安とは、一生お付き合いしていくことになるわけです。

「不安だから、いざというときに備えてなるべくお金を貯めておきたい」という方もいるでしょう。かといって投資はリスクがありすぎる。そうなると、利子がほとんどつかなくても貯金して、なるべくお金を使わないようにという方向にいきます。

結果的に、ささやかな日常生活すら萎縮してしまうのです。不安に対処するはずが、いつの間にか節約や貯蓄で終わってしまい、根本的な解決に行き着かないということもあります。

不安が大きすぎて思考停止状態に

本来であれば、生活していけるか不安になったときというのは、お金の稼ぎ方や使い方に限らず、生き方、働き方、時間の使い方、そして自分自身や人との付き合い方について考え直すのに最適なときです。

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でも実際には、あまりに不安が大きすぎて、仕事、生活、人生といったすべてを萎縮させて、思考停止してしまっている人が多いのです。これでは本当にもったいない。

では不安を希望に変えるには、どうすればいいか。考えても正解がわからない。調べても正解にたどり着けない。そういう時代がきたのです。だからこそ、自分がやりたい方向に近づく小さな行動を仮決めして、仮に動いてみる。動いたことで得た反応、反響といった情報をもとに軌道修正しながら正解に近づいていく──。 そうした「仮決め仮行動からの軌道修正」がこれからの時代に必須のスキルです。

大平 信孝 メンタルコーチ

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おおひら のぶたか

株式会社アンカリング・イノベーション代表取締役。メンタルコーチ。中央大学卒業。長野県出身。会社員時代、自身が部下育成に悩んだ経験から、脳科学とアドラー心理学を組み合わせた、独自の目標実現法「行動イノベーション」を開発。部下育成のためのメソッド「行動イノベーション・トーク」を広めるべく、「行動イノベーションアカデミー」を運営。これまでサポートしてきた企業は、IT、通信教育、商社、医療、美容、小売りなど40以上の業種にわたる。主な著書に、『本気で変わりたい人の行動イノベーション』(秀和システム)、『先延ばしは1冊のノートでなくなる』(大和書房)、『指示待ち部下が自ら考え動き出す!』(かんき出版)など。

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