ネット炎上「少数の意見」が社会の声に見える訳 一部の「極端な人」が何度も執拗に書き込む
また、新型コロナウイルスの不安真っただ中の2020年4月7日、「#東京脱出」というハッシュタグが拡散されていると朝日新聞が報じたこともあった。当時は東京都で感染者が急増している時期で、緊急事態宣言が出されて外出が難しくなる東京を離れ、地方に脱出しようとする人がこのようなハッシュタグを拡散しているというわけだ。
しかしこれも鳥海氏が分析した結果、そのようなハッシュタグは、朝日新聞公式ツイッターが記事配信を通知するまでにたった28件しか投稿・拡散されていなかったのである。その一方で、記事配信以降たった1日で、なんと1万5000件以上の投稿・拡散があった。
炎上の実態を知り、引いて見る
これらはマスメディアの事例であるが、「非実在型炎上」を積極的に生み出している新興のネットメディアも少なくない。そのようなメディアは、炎上でもない現象に「炎上」というタイトルをつけて記事を配信し、あおってPV数を稼ぐことで収入を得ているのである。
ネット炎上に参加する一部の「極端な人」が、近年ネットで大きな力をふるうようになったのは事実だ。しかし、このように時としてメディアが作り上げたような、幻想の「極端な人」による騒動も存在するのである。
繰り返しになるが、炎上の頻発する不寛容な社会は、一部の極端な人によって生み出されている。Twitter社の調査によると、無作為に抽出したツイート1000件の中で、ルール違反に当たる投稿はたったの1件だったようだ。大多数の人は便利なSNSを有効活用しているのである。
これ以上の社会の不寛容化を止めるために私たちができるのは、まず知ることだ。炎上に参加している人は実は全体から見ると少数であることを知る。さらに、ネットには「言いたいから言う」という能動的発信しかないため、極端で攻撃的な意見ほど投稿されやすいことがわかっている。
こういったことを知っておけば、自分が攻撃を受けてもいくばくか気持ちが楽になるだろう。そして何より、攻撃を受けている人がいたからといって、自分もそこに乗っかって攻撃をするのはやめよう。それは「世界中の人が攻撃している」のではなく、切り取られたごく一部の世界で、一部の人が攻撃しているだけなのだから。
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