ブラジルで小耳にはさんだ、W杯開催の本音 W杯は、誰のための大会なのか?

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 モノがあふれている社会で、売り手はいかにしてモノを売るか。そして、モノに囲まれている私たち買い手が、モノを買う理由とは何なのか。マザーハウス副社長の山崎大祐が、これからの時代の「モノの買い方、売り方」を考えていく。

 

先週、ブラジルへ1週間、行ってきました。メインの目的はもちろん、ワールドカップの観戦ですが、滞在中に現地の人からいろいろな話を聞きました。

「I like football, but…(サッカーは好きだけど)」

これは、ブラジル北西部最大の地方都市、マナウスのタクシードライバーの言葉です。マナウスにも、4万2000人収容のスタジアムがあり、イングランド対イタリアを皮切りにワールドカップが開催されています。

「当初の投資額は3億レアル(約150億円)と言われていたんだ。それが最終的に6億レアル(約300億円)だよ。それも、ほとんど税金によって賄われている。もともとあったスタジアムをわざわざ壊し、新しいスタジアムを作り直したんだ。好きなサッカーを楽しむのに、新しいスタジアムが必要だったと思うかい? それに、この国の政府はあまりに非効率だし、どこにおカネが消えたのかもわからない」

日本対コートジボアール戦が行われたレシフェのアレーナ・ペルナンブーコ・スタジアム。こちらも新しく作られたスタジアムで、5億レアル(約250億円)の投資のかなりの部分が税金によって賄われた

直近のブラジル国内での世論調査では、「ワールドカップ開催に賛成」の割合が40%を切る結果も出ています。とはいえ、そこはサッカー大国のブラジル。訪れてみれば、皆、世界最大の祭典・ワールドカップで大盛り上がり!だと思っていました。しかし、実際にはそうではない現実が見えてきました。

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