4位はヤマトホールディングスで696件。同社も社内外に内部通報窓口を設置しているが、この件数は同社の「コンプライアンス・ホットライン」、社長宛の窓口「目安箱」、外部の弁護士が担当する「企業不正通報窓口」の総計で、職場環境改善などの相談も含んでいる数字だ。
同社の場合、2019年度はパート社員を含めたグループ内全社員へ内部通報制度の浸透を図るために通達の配信やポスター掲示を行ったことで、社員の認知度が向上した。その結果、相談を含めた件数が243件増加し、前年度の倍近い数字になった。
5位はファーストリテイリング。前年度の563件から127件増加し690件となった。同社も社内・社外に内部通報・告発窓口を設置し、内部通報者・告発者の権利保護規定も制定。窓口についてはイントラネット上に公開しているほか、従業員の休憩室にポスターを掲出するなど、相談しやすい体制を整えている。
従業員の行動基準を定めた「ファーストリテイリンググループコードオブコンダクト」および「腐敗行為防止社内ポリシー」に従い、展開するすべての国・地域の各言語で定期的にコンプライアンスに関する研修を実施。「ビジネスパートナー行動指針」に定めた腐敗行為防止への取り組みを順守する取引先とのみ契約を締結している。
通報件数が底上げされた
以下、6位イオン590件、7位エーザイ544件、8位KDDI469件、9位明治安田生命保険466件、10位日立製作所459件と続く。
年間の件数が100件以上なのは、78位の野村ホールディングス、ジェイ エフ イー ホールディングスまでだが、100位の三菱地所、東北電力でも75件ある。2018年実施の調査のランキング(一昨年)では100件以上が63位までで、100社目は60件だったので、これに比べると15件も底上げされている。
ちなみに、前年度に比べて最も通報件数が増えたのは3位のパナソニック(380件増)である。ほかに100件以上増えたのは、2位のパン・パシフィック・インターナショナルホールディングス(316件増)、4位のヤマトホールディングス(243件増)、8位のKDDI(139件増)、13位の日本製鉄(138件増)、5位のファーストリテイリング(127件増)の5社だ。
なお、今回の調査(2020年実施)は2018年度と2019年度の通報件数について各社から回答を得て、これらの数字を基に前年度比較を算出している。2018年度の数字が前回の調査(2019年実施)から修正されている場合もある。ちなみに、エーザイが1位となった前回の調査のランキングは『CSR企業白書』2020年版に掲載しているのでそちらをご参照いただきたい。
権利保護に関する規定は、今回ランキングした全社(101社)が制定。窓口は社外で一括窓口としているIHIと、東京個別指導学院以外はすべて社内に設置。さらにほとんどが社外にも設置していた。
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