会場から賛同の拍手が起こる中、平井社長の回答はいつもどおりのものだった。
「厳しい環境の変化、為替などもあったが、もっと早く迅速に対応できなかったことは、大変重く受け止めている。厳しい状況の中、非常に残念だが、(パソコンの)『バイオ』から撤退することを決めた。こうした守りの部分は今年中に積極的にやる。あと販社の固定費を20%削減、本社の固定費を30%削減することを決め、社内でアクションを起こしている。今年度中にそうした改革をすべてやり切る。それが一番大きなチャレンジだと思っている。商品軸でやるべきことはまだ多いが、ここ2、3年でソニーのエレキが面白くなってきたという声も少しずつ出てきた。苦しい中でもそうした種まきをやっていきたい」(平井社長)
「構造改革をやり切る」。このフレーズは前述したとおり、5月の経営方針説明会やその後の会見で、繰り返し平井社長が述べてきた言葉だ。しかし、肝心の、なぜその構造改革が遅れたのか、その根因は何か、今回やり切るという姿勢はこれまでの改革の姿勢と何が違うのか、といった踏み込んだ内容について、平井社長はこれまでの会見や説明会でも話すことなく、今回の株主の訴えに対しても、従来どおりの言葉を並べた。
「中身がまったくない」。ある同社OBは、平井社長の経営方針説明会でのスピーチに対し、そう述べていた。今回の株主総会でも、「安心感が持てない」と訴えた株主に、平井社長は十分に答え、安心を与えることができたのだろうか。度重なる計画未達で失った信頼を取り戻すには、数字上の結果は当然ながら、平井社長が自分の言葉で真摯に説明する姿勢が不可欠と言えよう。
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