6月18日、京都リーガロイヤルホテルで開かれた、日本電産の株主総会。総会では、永守重信社長が「私の最終目標は売上高10兆円」(13年度は8751億円)と、かねてから公言していた野望を株主の前で宣言。その目標に向けて、「売上高2兆~3兆円までは(従来の)部品で稼ぐが、それ以降は完成品に出ていく」と、消費者向け商品への意欲を示した。
永守社長が一代で築き上げたのが日本電産だ。創業時から今に至るまで、事業の軸は「モーター」で一貫している。2000年代半ばまで、売上高の過半はパソコン向けHDD用精密小型モーターだった。その後、パソコン市場が急激に縮小し、経営資源を一気に「車載・家電・商業・産業用」モーターへとシフト。その成果で、13年度の業績はV字回復を果たしたが、事業の軸はモーターで変わらない。その点、日本電産は典型的な部品メーカーといえるだろう。
脱・部品メーカーになる日?
しかし、永守社長は将来的な“脱・部品メーカー”、すなわち消費者向け製品への進出を公言してはばからない。18日の総会でも、株主から「消費者向けに最終製品をつくる計画があるのか」と問われ、永守社長はこう返答した。「松下もソニーも、大きくなった会社は、部品から出発している。会社のブランド名を示すためにも、部品だと分かりにくいので、完成品のところへ出ていきたい」。
ただ、永守社長がいう「完成品」が何を指すのかについて、「社内でもまだ誰も聞いていない。おそらく永守社長の頭の中だけにある」(同社関係者)というのも確か。総会後の会見で、永守社長に直撃した。
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