存在感を発揮する「本当に強い女子大」の共通点 安田女子大、武庫川女子大、昭和女子大の戦略

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安田女子大学の母体である安田学園は、1915年の広島技芸女学校創立に始まり、105年にわたる伝統を持つ。1945年の原爆による被災では、安田五一初代理事長をはじめとして多くの犠牲者を出した。残された教職員そして学生は苦難の中で復興に取り組んだという。

当初は文学部のみだったが、経済および社会環境の変化や地域社会の要請もあり、2003年の現代ビジネス学部の設置に始まり、家政学部(2004年)、薬学部(2007年)、教育学部、心理学部(2012年)、看護学部(2014年)と組織を拡大。2020年4月には、公共政策分野のスペシャリストを養成する現代ビジネス学部公共経営学科が開設され、7学部14学科の総合大学となった。

今も広島の教育拠点として一歩一歩あゆみを進めている。

安田女子大学の池田智子学長補佐 (筆者撮影)

池田智子学長補佐は「本学は地域と共に歩んできた。地元を抜きにして大学は成立しない」と話す。コロナ禍においても、オンライン等を併用しながら地域および多くの企業との連携を行ってきた。

「大学の果たすべき役割は、教育・研究と地域・社会に対する貢献で、使命感を持って地域の発展に貢献する人材を養成・輩出していく必要がある。学園の創立以来、一貫して使命感を持ち、地方の大学だからこそ実現する、地域とのつながりを活かした学びがある」(池田学長補佐)

武庫川女子大はイメージ向上狙い最寄りの駅名を変更

兵庫県西宮市の武庫川女子大学は、短大から大学院までの学生数が約1万人を数える「日本一のマンモス女子大」として知られる。「阪神電鉄沿線の地味な女子大」というイメージが強かったが近年、おしゃれな形で進化を続けている。

最寄り駅の駅名を「鳴尾・武庫川女子大前」に変更 (筆者撮影)

典型例が最寄り駅の名称を、同電鉄との交渉で旧鳴尾駅から「鳴尾・武庫川女子大前」に2019年10月に変更し、カフェやレクチャールーム等も併設した「武庫女ステーションキャンパス」まで開設したことだ。

旧鳴尾駅は「駅前にたばこの吸い殻が散乱していた」(大学関係者)という沿線でも不人気の駅だった。だが2017年の駅高架化を契機に沿線のイメージアップを図ろうとした阪神電鉄と、「子育てがしやすく若い夫婦が住みやすい、学生たちが結婚して戻って来たいと思う地域にしたかった」(山﨑彰副学長)という大学側の思惑が一致。西宮市も文教地区とすることを目指しており、駅名変更の話がまとまったという。

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