「孫への教育費贈与」で税金をタダにするコツ 2021年4月以降は要件厳格化に注意が必要だ
また、金融機関に教育費の領収書を提出する必要があるなど、手続きは煩雑ともいえます。前述のとおり、教育費のために都度、資金を援助することについては贈与税がかかりませんし、年間110万円までならそもそも贈与税はかかりません。
そう考えると、祖父母が元気で長生きしてくれた場合などは、普通に援助してもらったほうが楽だった、ということもありえます。先々のことはわからないのでデメリットを理解したうえで一括贈与を受けるか、検討することが大切です。
2021年4月から贈与の適用要件が厳格化される
「教育資金贈与の特例」は2013~2019年3月31日までの期限付きでスタートした後、2年延長され、2021年3月31日までとなりました。さらに、税制大綱により、2023年3月末まで2年延長されることになりました。
ただし、2021年4月以降の贈与については、内容が一部厳格化されます。
従来は、祖父母が亡くなった時点で贈与された資金が残っていた場合、相続税がかかるのは贈与を受けてから3年未満のケースでした。しかし改正後は、死亡までの年数にかかわらず、前述の①~③に当たらない場合は相続税の課税対象になります。
さらに受贈者が子以外の場合には、相続税が2割加算されます。祖父母が死亡した際に子がいれば、子が相続人であり、孫が相続する場合は「遺贈」という形になり、相続税が2割加算されます。2021年3月までに贈与を受けた分について2割加算は適用されませんが、4月以降の贈与については2割増が適用されることになるのです。
こうしたことを考えると、できれば2021年3月末までに手続きするのが賢明かもしれません。
教育費のほかに、結婚や子育て費用の贈与にも非課税制度があります。
「結婚・子育て資金の一括贈与」です。こちらは、結婚資金や子育て資金などに使う資金を、祖父母や親から20歳以上50歳未満の子や孫に贈与した際に、最大1000万円までが非課税になる制度です。
結婚資金の贈与は300万円、出産・子育て資金を含めると1000万円までとなります。結婚式の費用、引っ越し費用、新居の賃料、出産費用、子どもの病院費用、保育料など。結婚相談所やお見合い、婚活、合コンといった出会いに関する費用、新居の家具家電、ベビー用品などは対象になりません。こちらも、領収書が必要です。
死亡した時点で残っている額は相続財産に加えられますが、教育資金の一括贈与と同じように、遺贈であっても2割増しのルールは適用されません。
この制度については延長されず、信託できるのは、2021年3月31日までです。
金融資産が多いと、相続税の負担も大きくなりますから、こうした制度を使って資産を若い世代に移転することには、祖父母にとっても意味のあることだと思います。
ただし、お願いしていいのは、あくまでも「経済的に余裕があれば」「無理のない金額で」です。余裕資金が減って不安になるようなことは避けるべきですし、ほかの兄弟から不満が出ないかなども、きちんと考えましょう。
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