「孫への教育費贈与」で税金をタダにするコツ 2021年4月以降は要件厳格化に注意が必要だ
「教育費を支援してもらうと贈与税がかかるの?」と、疑問を持つ人もいるでしょう。実は祖父母から教育費をその都度贈与してもらう場合、基本的には贈与税はかかりません。では、こうした制度を利用するメリットは何でしょうか。それは、「今、必要な教育費」だけではなく、「将来、必要になる教育費を、先に、まとめてもらっておける」ということです。
私立の中学・高校に進学する場合や、大学進学などではお金がかかることがわかっていますから、「そのときには資金を援助してあげたい」と考えている祖父母もいるでしょう。しかし、実際にお金が必要になるときに、祖父母が健在とは限りません。認知機能が衰えれば、お金を動かすのにも支障があります。そうなれば、祖父母の思いが実現しない(孫はもらえるはずのお金がもらえない)といったことにもなりかねないのです。
祖父母が死亡した場合には、贈与してもらえるはずだった資金を、相続という形で受け取る、という方法もあります。しかし、その場合は相続税の対象となります。
制度を利用して、元気なうちに一括贈与を受けておけば、祖父母の好意を確実に受けることができる。そして、贈与税の負担もなく、相続税に影響することも避けられる、というわけです。こうしたことを踏まえると、制度を利用して渡せるものは先に渡しておく、もらえるものは先にもらっておく、という対策にも一定のメリットがあるわけです。
30歳までに使い切れない贈与は課税対象に
では、教育資金の贈与をする場合の注意点をみていきましょう。
まず、非課税になるのは教育資金として使った場合のみで、ほかの用途で利用した場合には、贈与税が課せられます。また制度を利用できるのは受贈者が30歳までの期間で、30歳時点で贈与された資金が使い切れずに余ってしまった場合、残った分には贈与税が課税されます。
もう1つ、2019年度以降の贈与で注意したいのは、信託期間中(資金を託している期間中)に贈与を行った祖父母等(贈与者)が亡くなった場合についてです。
贈与者が亡くなった時点で贈与されたお金が残っていても、贈与から3年を経過していれば相続税の心配はありません。①受贈者(贈与を受けた人)が23歳未満、②学校に在学中、③教育訓練給付金の支給対象となる教育訓練を受講している場合も、同様です。
しかし、前述の①~③にあたらず、相続開始前3年以内に贈与されたお金で残っている分については相続税の課税対象となります。
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