菅首相はさっさと「解散」に打って出るべきだ 東京五輪も再延期か中止を前提に「先手」を打て

✎ 1〜 ✎ 48 ✎ 49 ✎ 50 ✎ 最新
著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

菅政権に対する支持率低下の原因には、「桜を見る会」の問題のように前政権時代の問題もあるが、学術会議の問題や、一連のコロナ対策の不評など、菅氏自身の対処の拙さに起因する問題もあるようだ。

就任当初に発生した日本学術会議の会員について会議からの推薦があったにもかかわらず6名を任命しなかった問題は、「人事の問題なので説明を差し控える」で押し通したが、就任当初の高支持率を10%見当浪費したように思える。

6人が会議に加わることで政権として具体的に不都合があったようには思えない。学術会議にもう一度会員推薦を行わせて、同じ6人を任命して、問題をさっさと片付けてしまえば良かった。学術会議のあり方や予算が議論の対象になったことで、善し悪しは別として、学術会議に対する影響力は十分行使出来たので、政権側の目的は十分達成できたはずだ。かたくなに説明を拒む態度は支持率を下げた。

一方、コロナ対策にも、「説明不足」が影を落としているように思う。国民が求めているのは、「緊急事態宣言は考えていない」(昨年12月まで)、「緊急事態宣言を検討する」(1月以降)といった判断の結果発表ではなく、「今後、感染者と重症者が○○人、△△人程度に増えるかも知れないが、××人の重症患者用の医療体制が確保されているので、国民は安心して欲しい」といった具体的で率直な情報発信だ。

首相として「スタイルチェンジ」が必要

菅首相は、「ご指摘は当たらない」、「回答を差し控えさせて頂く」といった、コミュニケーションを遮ることで「防御が成り立つ仕事をしているつもりになれた」官房長官時代と異なり、首相としての積極的な情報発信が求められていることを理解した方がいい。

周囲のサポートにも問題がありそうだが、本人も批判に身構えてボロを出さないことに全集中する頑ななスタイルを捨てて、「いい知恵があったら、どなたの話でもお聞きしたい」と言いつつ胸襟を開いて素朴なコミュニケーションを心掛けるくらいの、スタイルチェンジが必要だ。コミュニケーションをコーチする人材が必要なのではないか。

コロナ対策についても、やって来たことが的確ではなかったことを率直に認めたらいいのではないか。コロナに関しては、「コロナ抑制が全てに優先」派と「コロナ対策はほどほどに経済を回せ」派との分断が深刻で、どちらについても批判を受けるが、両者共通の利害として、特に重症患者向けの医療体制の増強と整備にもっと注力すべきだった。

医療体制に余裕があれば、国民は安心できるし、経済を動かす余地が拡がる。また、一応は先進国の一角である我が国にあって、医療従事者向けのワクチン接種が始まるのが2月下旬からであるという手回しの遅さは、国民の心配をかき立てる、もはや「謎」のレベルだ(どうなっているの?)。

次ページ飲食店に対する補償も不公平
関連記事
トピックボードAD
マーケットの人気記事