「名古屋めしチェーン」がイタリア進出の事情 すしやラーメンではない「本場の味」への需要

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①日本食レストラン
まずは先ほどのポポロ屋に代表されるような、日本人の料理人が腕をふるう日本食レストラン。現地の一般的なレストランに比べると価格は高めだが、本物の味が楽しめるとあって在住の日本人のほか和食好きのイタリア人の来客も多い。すしや天ぷらなどの定番料理だけでなく、幅広いメニューがあるのが特徴。最近は焼肉専門店や居酒屋風など、個別ジャンルに注力した店舗も増えている。

②食べ放題形式のレストラン
1人15〜20ユーロ程度のAll you can eat(食べ放題)形式の日本食レストラン。メニューは定番のすしや刺身、天ぷらなどが中心で、バリエーションは多くない。必ずしも日本人の料理人が作るわけではないため、裏巻きやフリットずし、卵とじではなく目玉焼きをのせたカツ丼など、日本では見慣れないメニューもある。一方で、リーズナブルに食べ放題を楽しめるため人気が高く、イタリアで和食の浸透に大きく寄与したという側面もある。

③フュージョンレストラン
イタリア人の好みに合わせてアレンジした、「純粋な日本料理」というよりは多国籍料理のレストラン。黒米や玄米を使ったすしや、フルーツや野菜の巻きずしなど、どちらかというとイタリア人向けのメニューが多い。近年の日本食ブームに合わせて、ミラノやトリノなどの大都市を中心に見かけることが多くなった。

日系チェーン店による海外進出

イタリアにおける日本食レストランは大雑把に分けると上記のとおりだが、おそらく他国でも同じような状況と思われる。日本食を求める人が増えるにつれ、日本人以外の料理人による日本食レストランが登場し、イタリア人の舌に合わせたアレンジ料理を提供するレストランも増えていった。ある意味ではこれも、裾野が広がっていったと言えるだろう。

そして近年の日本食ブームに合わせて、新しい形態のレストランも登場してきている。それが日系チェーン店による海外進出だ。

「和食麺処サガミ」や「味の民芸」などのチェーン店を展開するサガミホールディングスは、日系の和食チェーン店としてイタリアで店舗を増やしている。2018年11月にイタリア1号店「サガミ」をミラノ中央駅前に出店したのを皮切りに、2020年7月にはエミリア=ロマーニャ州のモデナに2号店を、さらに9月にはボローニャに3号店を出した。

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