欧州4カ国がタッグ「夜行列車」路線拡大の勝算 背景に環境問題、成功のカギは「ライバル登場」

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ナイトジェットはオーストリア連邦鉄道の中でも黒字を計上する事業となっているが、単独で黒字化できない可能性がある区間に関しては、やはりある程度の公的補助が前提となる。

オランダ国内を走る夜行列車は2015年まで運行されていた。当時はドイツ各都市の他、ワルシャワ行きやプラハ行きの客車も連結していた(筆者撮影)

以前から復活は近いと言われているオランダのアムステルダムへの路線がまだ営業開始していないのは、オランダ政府と補助金額についての交渉がまとまっていないためとされる。

プラハは観光地として人気が高いが、ドイツが運行していた「シティナイトライン」が廃止された2016年以降、西ヨーロッパ諸国との間を結ぶ夜行列車はチューリッヒへの1本だけとなっており、復活を望む声も多い。

しかし現状は高速鉄道がなく、他国との間を結ぶ在来線はカーブの多さで最高速度が時速160km以下に制限されることから、所要時間の面では航空にかなわない。一方、料金では高速バスが優位であるため、収益性については未知数と言わざるをえない。

それでも、将来的には中欧における「ハブ都市(中継点)」となりたいプラハ市が、他国とのパイプを強化するため、補助金を出してでも夜行列車を運行させたいと考えるのは理解できる。もちろん前述の通り、移動の効率性という面において夜行列車であれば勝算があると見込み、まずは運行を開始させたいという考えもあるだろう。

課題の1つは「車両」

では今後、ヨーロッパにおける夜行列車の発展において、課題となるのはどういった点か。

ヨーロッパの一般的なクシェット(簡易寝台車)。両側3段の6人部屋が基本となっている。車両そのものが30年以上経過した老朽客車が多く、対策が急務となっている(筆者撮影)

まず一番に問題となるのは、今も多く残っている老朽化した客車をどうするかという点だ。現在、夜行列車を運行する鉄道会社が使用している寝台客車の多くは、1980年代より前に製造された車両で、日本における末期のブルートレインと同様、内装の陳腐化が避けられない状況となっている。

オーストリア連邦鉄道は現在、ナイトジェット用新型車両7両編成13本をメーカーのシーメンスへ発注しており、2022年に導入される予定だが、新規路線が開設されるとなると、車両不足は否めず、今後もしばらくは旧型車両を使い続けていくことになる。となれば、せっかく取り込んだ利用客を逃がさないためにも、内外装の更新はもちろん、高速バスでは常識となっている電源コンセントの設置やWi-Fiの装備など、サービスの充実化を図っていく必要が出てくるだろう。

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