「逆流性食道炎」の少しの誤解と症状別の対処法 胸やけ、ムカムカ、知っておきたい正しい知識
食事をしたあとに胸やけがする、酸っぱいものがこみ上げてくるといった不快感は、胃から胃液が逆流して食道に上がってくるために起こります。それが「食べすぎたときだけ起きる」とか、「お酒を飲みすぎたときだけ起きる」のであれば、すぐに病院に行かなくても、対処できるかもしれません。
市販の胃薬で胃酸の分泌を抑えたり、水などを飲んで胃液を薄めたりする方法がよく知られています。「牛乳を飲むと楽になる」とおっしゃる患者さんもいます。同時に、ベルトや帯をゆるめて腹圧を上げないようにすることで、症状をある程度抑えられます。また、胃の中に食べ物が入っている状態で横になるのは避けましょう。食後少なくとも2時間は横にならない生活習慣をつけましょう。
炭酸飲料を飲むのは逆効果です。ビールやコーラ、炭酸水などは胃で発泡して胃の圧力を上げるので、胃液の逆流を助長してしまいます。「すっきりするから」と飲みたがる人がいますが、注意しましょう。
体の左側を下にして寝ると効果あり
朝起きたときの胸やけ、口が酸っぱい感じ、喉の不快感、呑酸(酸っぱいものがこみ上げてくる感じ)は、寝ている間に胃液が食道まで上がってきているために起こることが多いようです。
症状が出ないようにする方法としては、夕食を腹八分目にする、食べてから2時間は横にならない、おなかを締めつけない服装で寝るといったことがあります。そのほかに、寝る姿勢を工夫する方法もあります。背中に座布団を敷くなどして上体を少し起こして寝たり、左側を下にして寝ると効果があるようです。うつ伏せ寝はお勧めできません。
日常生活では、腹圧を低くする(前かがみで重い物を持たない、ベルトをきつく締めない、肥満があれば痩せる努力をする)、適度な運動を心がける、脂っこい食事をなるべく避ける、刺激物をとりすぎない、不規則な生活を避ける、ストレスをためないなどを心がけましょう。
私の患者さんで、横になると胃液を戻すため、座って寝ているという方がいます。とくにお年寄りになると、寝ている間に胃液を戻し、それが気管に入って誤嚥性肺炎を起こす危険があるので要注意です。そこまでいかなくても、胃液は強酸性ですから、気管に入るとものすごい刺激となり、苦しむことになります。
胃液を戻さないためには、上半身を高くして寝ることです。布団の下に座布団などを入れて、少し角度をつけるだけでも効果があります。病院のベッドのように上体の角度を無段階で変えられるのなら、安眠できる角度を探して寝るようにしましょう。
上半身を高くすると寝られないという人は、枕を高くするだけでも効果があります。やや固めの高さのある枕に変えるだけで、胃液が口まで戻りにくくなります。いつもの枕でないと寝られない人は、枕の下に薄いクッションなどを入れてみましょう。
また、寝る姿勢は左側を下にするようにします。右側を下にすると胃と食道の間にあるゲートである下部食道括約筋の圧が低下して、逆流を起こしやすくなるといわれています。
いずれにせよ症状が起きるのが「たまに」「ときどき」の頻度であればあまり心配はいりませんが、気をつけているのに症状が頻繁に起きる、毎日のように起きるというのであれば、念のための受診をお勧めします。
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