「面倒くさい」が口癖の子供を諭す"魔法の言葉" なぜ大人は子供から「主体性」を奪うのか?

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大空小学校でも、こんな子、たくさんいましたよ。いろいろ条件は違いますが、すべての子どもたちが自分から自分らしく、自分の言葉で語ることができるようになっていきます。

わが子がすぐ「面倒くさい」と言って困る、という相談を受けることもあります。それについては、なぜ面倒くさいと言うのかをその子自身から学ばない限り、無理です。

もし大人が「面倒くさいって言うな!」と言ったら、子どもは口を閉じるだけ。でも納得はしていません。だから、見えないところでストレスをためていきます。

「面倒くさい」の対処法は簡単

「面倒くさい」と言ったときの対処法は、簡単なんです。

「面倒くさいっていう言葉を使わず、〝面倒くさい〞を説明して」

こう聞いてみる。子どもは面倒くさいという言葉でスルーしようとするのです。子どもはどこからこれを学ぶかというと、大人からなんです。たとえば家庭で親が「面倒くさいな」と言うじゃないですか。「面倒くさい」という言葉を聞いたことがなければ、子どもは使いませんから。

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ついでに言うと、殴られる経験値があるから、困ったら人を殴るようになる。砂漠の中で一人で生きていたら、人を殴ることはありません。砂漠の中で一人で生きていたら、自閉的な傾向も表れません。

他者や環境に障壁があるから困ったことが起きるし、自閉的な傾向も表れるんです。「この子は自閉症だ」「発達障害だ」とか言って、隔離してしまったら、その子自身も周りも育ちません。このまま社会に出たら、共生社会などできるわけがありませんよね。

障がいを見てしまうと、その子本人が見えなくなる。私自身もそんな失敗を繰り返しながら、やり直しをしてきた人間です。

木村 泰子 大空小学校初代校長

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きむら やすこ / Yasuko Kimura

大阪府生まれ。武庫川学院女子短期大学(現武庫川女子大学短期大学部)卒業。大阪市立大空小学校初代校長として、障害の有無に関わらず、すべての子どもがともに学び合い育ち合う教育に力を注ぐ。その取り組みを描いたドキュメンタリー映画『みんなの学校』は大きな話題を呼び、文部科学省特別選定作品にも選ばれた。2015年に45年間の教員生活を終え、現在は講演活動で全国を飛び回っている。東京大学大学院教育学研究科附属バリアフリー教育開発研究センター協力研究員

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