菅首相、言い間違え連発で招いた「自滅の刃」

反転攻勢狙った会見やメディア出演が逆効果に

菅首相の記者会見はかねて、「余りにも官邸主導」と批判され続けてきた。13日は初めて午後7時から開始され、全国中継のNHKニュースで放映されたが、民放各局は臨時中継できなかった。このため「首相批判が目立つ民放の出番を封じるための時間変更では」(民放幹部)との猜疑心も広がった。

会見のスタイルは「1人1問」「再質問禁止」のままで、次の日程を理由にそれまでより短い40分強で打ち切られた。「国民皆保険」のくだりはその最後の質問の答弁で飛び出したもので、そのまま去る菅首相の背中に「まだ聞きたい」と手を上げ続ける記者団の声がむなしく響いた。

後手にまわる緊急事態宣言

かねて軋轢が際立つ小池百合子都知事に押し切られたように、緊急事態再宣言からわずか6日で7府県に拡大せざるをえなかったことにも、与党内から「余りに後手後手」(閣僚経験者)との声があがった。

中でも、菅首相が繰り返す「国と自治体、国民一体での感染防止」との建前に疑問を投げかけたのが、追加指定の際の自治体との足並みの乱れだった。追加7府県のうち福岡だけは宣言発令を要請していなかったからだ。

福岡県の小川洋知事は「医療態勢も含めて宣言を要請する状況にはなっていない」と県民に説明していたが、12日午前に西村コロナ担当相との協議で方針転換した。その際、小川知事は「西村さんから、(宣言の)追加指定は考えていない。『最後の船』だと説明されたので、やむをえないと判断した」と不満げな表情で語った。

これに対し、西村氏は同日夜に「『最後の船』と言ったわけではない」と小川氏の説明を否定。小川氏もその後、「言いすぎたところがあり、発言を撤回したい」とし、「『時間をかける余裕はない』との(西村氏の)答えをもって、私が『追加指定がない』『最後の船だ』と表現してしまった」と苦渋の表情で説明した。

小川氏は、麻生、鳩山両内閣で内閣広報官を務めてから福岡県知事に転身した人物で、同じ通産省(現・経済産業省)出身の西村氏とは入省年次で12年上の大先輩。しかも、官僚時代から「緻密で細部にこだわる性格」(元同僚)で知られている。それだけに「後輩に指図されて思わず漏らしてしまった2人だけの会話を、菅政権に忖度して修正したのでは」(閣僚経験者)との臆測も広がった。

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