日本人が知らない中国「AI発展計画」驚きの実態

「コピー大国」から様変わりした中国の今の姿

「ローマは一日にして成らず」。もちろん、技術がコロナによって急速に発展したわけではない。中国ではもともとデジタル技術の活用が人々の生活に根付いていた。

例えば、手ぶらで買い物に出かけ、買いたいものをスマートフォンで注文・決済すると、その日のうちに宅配される。EC販売の利便性とリアル店舗での実体験を融合させた「ニューリテール」と呼ばれる新たな消費スタイルが中国では主流になりつつある。

最先端技術の追求はエコシステムの形成に注力

さらに、従来の生産・流通方式を変えるビジネスモデルとして、消費者ニーズ(ビッグデータ)を起点とする商品の開発と生産を行う「C2M(Customer to Manufacturer)」が実践されている。

C2Mを可能にするのが、製造業のスマート化である。工場のデジタル化によって、OEM向けの受託生産メーカーがマス・カスタマイゼーションを実現し、新たな活路を見いだした。家電メーカーのハイアールはロボットやAIの活用で「24時間無灯スマート工場」の異名を持つようになっている。

これらの事例は、米中貿易戦争の標的にされた「中国製造2025」が軌道修正を迫られたものの、「機器換人」(人間の労働力にとって代わる機械の導入)のスローガンの下、製造業のデジタル化が着実に進んでいる証しなのだ。

最先端技術の追求は、ロードマップを政策で示したうえで、資金投入や人材育成、企業支援などエコシステムの形成に注力するというやり方である。

AIの競争力向上がその好例で、2017年夏に公表された「次世代AI発展計画」がグランドデザインとして、2030年までに中国のAI技術を世界最先端のレベルに引き上げ、AI関連産業を10兆元(約160兆円)の市場規模に拡大といった内容を盛り込んでいる。この計画の下、中央政府の各省および地方政府が動き出しているので、いくつか事例を紹介したい。

次ページグランドデザインに呼応した地方政府の発展計画
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