【産業天気図・2010年4月~11年3月】外需が牽引し企業業績は小幅回復も不透明感はぬぐえず
「会社四季報」記者の見立てによると、2010年4月~9月に「晴れ」(天気の目安は次ページ表を参照)と予想された業界は、化学や鉄鋼、半導体など。09年12月の前回予想から大きく増えた。最悪の景況感を示す「土砂降り」も、前回予想には2業種(海運、工作機械)あったが、今回は消えた。足元の景況感には、一定の改善が確認できる。
改善要因のひとつは中国を中心とするアジアの需要。たとえば海運では、中国の鉄鉱石輸入を大きく増やした効果で、主軸のバラ積み船が回復傾向にある。また内需関連でも、百貨店業界のように店舗リストラなど構造改革効果で業績が底打ちする業界が散見される。
後半の10年10月~11年3月も、緩やかな回復基調は続く。前半の6業種に加え、電子部品もデジタル機器の世界需要で「晴れ」に一段改善の見通し。また、前半に8業種あった「雨」も、後半には3業種へ急減する。スーパー、外食など内需企業が遅れて回復する格好だ。後半も依然「雨」にとどまるのは建設、医薬、銀行。「コンクリートから人へ」の流れで冷え込む建設業界など、いずれも政策面の打撃が大きい。
はたして今後も回復基調は続くのか。それについては、視界不良と言わざるを得ないだろう。外需以外に、もうひとつ今回の回復を支えたのは、過剰な設備・雇用の解消だ。家電・AVがその典型だ。しかも設備の過剰感はなお払拭されておらず、石油業界などで中期的に設備リストラが進みそうだ。
日本経済を支えてきた製造業の設備・人員リストラは、中期的にはデフレの継続にもつながり、内需産業の低迷を招きかねない。日本の産業界は急激な業績後退期を脱し、一息ついたに過ぎない。
※次ページに業種別の天気一覧
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