失踪疑惑?アリババ「ジャック・マー」の胸の内

逆風が強まる中、中国では論争も巻き起こる

中小企業のビジネスを助けるために創業したアリババだが、中小企業の生存権までを脅かすかのように見える一面も持つようになった。

事業者や消費者の不満を背に、アリババやテンセントなどプラットフォーマーの独占行為にメスを入れる法整備が2020年1月から進められてきた。アリペイ、WeChat Payと競合になりうるデジタル人民元構想も2019年夏に明らかになった。

プラットフォーマーの功罪の「罪」の部分がクローズアップされる空気が濃くなる中でも、マー氏はいつもどおり、空気を読まなかった。

マー氏の「未来への責任」

マー氏は、リスクを承知のうえでブレーキを踏まなかったのかもしれない。くだんの演説で、マー氏は「正直に言うと、今日ここでスピーチをするべきか悩んだ。しかし私は未来を考える責任を他人に転嫁できない」と切り出した。壇上に上がった彼は、原稿に目を落としながら、「誰も爆弾を投げないなら、私が投げよう」ともつぶやいている。

彼がアリババへの逆風が吹き始めたタイミングであえて爆弾を投げたのは、コロナ禍によって世界中が闇に包まれていると感じたからだろう。マー氏は演説の後半で、「今は人類にとって最も鍵となる時だ。今回のコロナ禍を決して軽く見てはいけない。社会に強制的な変化をもたらす、第二次世界大戦に相当する節目だ」と強調した。

同氏が2008年12月に「銀行を変える」と発言したときは、リーマン・ショックの真っただ中で、講演も「次の30年」というテーマを与えられていた。マー氏は本人の発言どおり、世界の混迷を目の前にして、「未来への責任」という使命感に駆られ、信念を貫いたのだろう。

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