アメリカ分裂でバイデン政権の舵取りは困難に

当初から共和党と民主党左派の挟み撃ちに遭う

大統領選出確定の場もハードな展開になった(写真:ロイター/Mike Segar)

「ユナイテッド航空93便」。9.11アメリカ同時多発テロ事件で、首都ワシントンの連邦議会議事堂に突っ込むためにアルカイダ工作員がハイジャックしたフライトだ。乗客がハイジャック犯と戦い、議事堂に到達する前にペンシルベニア州で墜落した。熱狂的なトランプ支持者は、2020年大統領選を「93便選挙」と称していた。ジョー・バイデン政権発足によってアメリカ社会が変わることを、自らの手で阻止せねばならないといった決死の覚悟を示すものだ。

同時多発テロ事件から約20年が経過した1月6日、ホワイトハウス南側の広場でトランプ大統領の演説を聞いた支持者たちはペンシルベニア通りを南東に下り、連邦議会議事堂に乱入。アルカイダも実現しなかったことを成し遂げた。民主党支持者やアメリカのリベラル系メディアなど大手メディアの大半は、議会乱入者を抗議者とは呼ばず「反乱者」や「国内テロリスト」と称している。

9.11後、テロ攻撃に衝撃を受けたアメリカ国民の声を反映し対テロ政策導入に向け政治家は党を問わず団結した。今回も衝撃を受けた国民は多くいるが、政治家は団結するであろうか。議会を攻撃したのは国外のテロ組織ではなく身内で片方の政党の支持基盤であったこと、そして国は二極化していることからも、それは疑わしい。

共和党支持者の多くはトランプ勝利を信じている

トランプ支持者の議事堂乱入により自らの命が危険にさらされた後も、共和党出身の上院議員8人、下院議員139人が、一部の州のバイデン勝利の認定について異議を唱えた。共和党の支持基盤はトランプ氏の勝利を信じて疑わない。2020年12月時点で共和党支持者の72%が2020年選挙の結果を信用しないと回答している(NPRとPBS<いずれも公共の放送局>、マリスト大学による共同世論調査)。そのため、議員は自らの再選や大統領選出馬などを視野に入れて行動したようだ。

また、新興右派放送局のワン・アメリカ・ニュース(OAN)、ニュースマックス、そしてフォックスニュースのコメンテーターなども、今回の事件を糾弾するのではなく、議会乱入者は左翼の活動家ネットワークであるアンティファではないか、との陰謀説まで語っている。これらのメディアやソーシャルメディアを通じて情報を得る多くのトランプ支持者は、陰謀説による妄想の別世界にいる。事実上のクーデターに参画しているという自覚がない支持者が多数いるとも、指摘されている。

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