元ヤフトピ編集長が語る「勝つメディアの条件」 「いいものを書けば売れる」は昔から幻想

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自社アプリのダウンロード数は、先行する日経が約70万、朝日が約30万といわれています。仮に読売新聞アプリのダウンロード数が、定期購読者の1割にとどまったとしても約70万です。しかも、アプリでの課金はありませんから、ダウンロードを誘う環境は悪くない。

読売新聞の狙いは、ネット単体で収益を上げるより、最終的には残存者利益を取ることにあると感じています。ライバルの新聞社が破綻した際、読売新聞はその読者を獲得しようと準備しているのではないでしょうか。新聞業界で確固たる地位を維持し続けたいという考え方です。紙ありきの会社ですので、アプリはあくまで紙の販売戦略の一助だと思います。

放送界では、NHKの「NHKプラス」のリリースや、日本テレビによる「TVer(ティーバー)」でのネット同時配信の試行が注目すべき動きだったと思います。地上波で放送されている映像コンテンツを、インターネットで同時に見ることができる時代。それが本格化する兆しでしょう。

今の若い世代は家にテレビがないケースが増えており、映像コンテンツはパソコンやスマホ経由です。NHKや日テレの動きは、テレビから離れた視聴者を取り戻すことにつながるかもしれない。インターネットで放送コンテンツを流すというのは、そういう大きな流れで見るべき事柄です。

テレビよりスマホという今の時代、ニュースのツールは、ヤフーニュースやLINEニュースです。そうしたプラットフォームが提供するニュースコンテンツの大半はテキストです。つまり「読む」ニュース。放送のニュースコンテンツがネットに出ていく場合、最初の課題はユーザーの習慣を「読む」から「見る」「聞く」に変えていくことでしょう。

広がる音声コンテンツの広告市場

躍進の兆しが見えたのは、音声コンテンツです。Voicy(ボイシー)、Spotify(スポティファイ)、AuDee(オーディー)といった音声コンテンツサービスは確実に拡大していくでしょう。

実際、音声コンテンツにおける広告の市場は広がっていて、今は10億円規模ですが、あと数年かけて数百億円の規模になると言われています。当然、そこにはニュースコンテンツも入ってきます。

スマートスピーカーやスマートイヤホンの普及も大きい。アメリカでは成人の4人に1人がスマートスピーカーを持っています。日本の普及率は6%から10%に満たないくらいの水準で、アメリカと比べると、まだまだ伸び代がある。

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