リモート営業「ベルフェイス」が狙う次の鉱脈 「電話の代替」に終わらないデータ事業の勝算

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近年のベンチャー企業では、法人向けのSaaS(クラウド型ソフトウェア)を提供する企業への注目が集まっている。従来型システムより導入が容易で、月額課金単位で開始しやすいことが理由だ。このコロナ禍でも多くのSaaS企業は躍進した。

中島代表は2020年を「自社のサポート体制も含め、顧客からどう選んでもらうのかを突き付けられた1年だった」と振り返る(撮影:梅谷秀司)

ベルフェイスの利用者は中小企業などで一部解約はあったものの、大企業を中心に1社あたりの利用者が大幅に増加。2020年3~5月にかけて新規利用者向けに無償提供を実施したことも認知度向上に効果を発揮し、1万社以上からの問い合わせがあった。

ただ、単なるツールでは今後、新しいサービスが出てきたときに乗り換えられてしまう。そこで直近、ベルフェイスが注力してきたのが、商談のログデータを生かした営業特化のデータビジネスだ。

営業マンの力量を可視化

ベルフェイスの利用者は「レコログ」という録画録音機能を使うと、自動的に日本語を文字起こしすることができ、これを基に商談内容のデータベースを構築できる。これを解析して営業内容を分析すれば、トップ営業マンとそうでない営業マンの違いがみえてくる。ブラックボックス化していた営業マンの力量を可視化することで、組織全体の底上げに生かすことができるわけだ。

さらに、成功した営業事例などを研修に用いて新人教育などの人材育成につなげることも可能になっている。蓄積した商談情報が増えていった際には、自社の顧客情報と結びつけ簡単に分析ができるよう、セールスフォースとのCRM(顧客管理)機能など他ツールとの連携も進めている。

「営業のログ取得・解析を進めることで、営業のビッグデータを当社が蓄積できるようになる。(ベルフェイスは利用者にとって)お客さんとの接点でありラストワンマイルの営業に特化できる重要なツール。この価値はZoomもセールスフォースも、電話回線を提供している会社も持っていない」(中島代表)

営業の成果をデータで分析・把握できることは、営業チームのマネジメントを強化したい大企業の経営層のニーズにマッチする。「『すべての道はローマに通ず』ではないが、すべてのSaaSプロダクトは大企業に通じる。営業データを活用できる強みを生かして大企業への導入を加速していく」(中島代表)。

この強みを生かし、今後ベルフェイスが狙うのは営業のDX(デジタルトランスフォーメーション)を主導する企業へ進化することだ。「対面からウェブ会議システムに切り替えることはDXではない。それは交通費と移動時間を削減しただけにすぎない。営業がお客に話した内容を可視化して記録、それを検索できることが本当のDXの一歩目だ」。中島代表はそう強調する。

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