【産業天気図・証券業】新興国投信ブームと公募増資ラッシュ一巡、収益回復は踊り場に。業況感は終始「曇り」
10年4月~9月 | 10年10月~11年3月 |
証券業界は2010年4月から1年終始、「曇り」が続く見通しだ。リーマンショック以降の状況から着実な回復過程にあるが、当面は踊り場的な状況が続きそうだ。
10年3月期はリーマンショック後の金融大混乱の状況から脱し、主要な株式市場は価格的にも売買ボリューム的にも底入れ。特に中国やブラジルなど新興国関連中心に投資信託の販売が活況を呈した。対顧客の外債トレーディングも伸長。産業界ではバランスシートの修復を主目的とした公募増資や社債発行が急増し、大手証券は引き受け手数料の増大で潤った。そのため、顧客基盤が比較的厚く、投信販売や引き受け業務が好調となった大手、準大手証券を中心に業績は黒字回復を達成する見込みだ。
足元の株式市場は、水準的には右肩上がりの相場を維持している。とはいえ、活況とは程遠い状況。東証の1日当たり売買代金は2兆円が活況の目安と言われるが、昨年4~12月の平均が1兆5684億円。今年1月は約1.7兆円だったが、2月は1.4兆円強、3月に入っても1兆円前後の日が目立つなど、総じて低調な商いが続いている。4月以降、相場が引き続き堅調に推移すれば、個人投資家などが株式市場に戻ってくる状況も想定できるが、不透明感は強く、大きな期待は持ちにくい。今のところ、前期と同程度の活況度と想定せざるを得ない。
一方、投信販売については、引き続き新興国関連中心に高水準が予想されるが、昨年のブーム的な盛り上がりは若干冷めそうな気配だ。中国の利上げ懸念など相場環境に警戒感も強く、むしろ弱含みと考えたほうがよさそうだ。