【産業天気図・証券業】新興国投信ブームと公募増資ラッシュ一巡、収益回復は踊り場に。業況感は終始「曇り」

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 発行市場においても、昨年の金融機関を中心とする記録的な公募増資ラッシュは足元、沈静化しており、新年度における証券業界の引き受け手数料は減少する可能性が高い。

さらに、米国でのボルカー・ルールなど国際的な金融規制強化の動きも不透明要因。金融市場の流動性が低下したり、レバレッジ(借入金比率)圧縮による収益性低下も見込まれる。大手証券会社はこの辺りの影響も多少考慮する必要があろう。

業界最大手の野村ホールディングス<8604>は、10年3月期はトレーディングの復調や投信販売、引き受け手数料急増などで黒字へ浮上するが、11年3月期はやや伸び悩む公算が大きい。不良資産の大型処理一巡やリーマン・ブラザーズ買収後のリストラ効果が出て増益となっても、今のところそれほど大きな伸びは期待しづらい。野村としては、なお低水準の収益が続きそうだ。

大和証券グループ本社<8601>は、10年3月期に三洋電機株売却益を約1000億円計上したため、営業利益以下が大幅にカサ上げされたが、11年3月期はそれもなくなり、大幅減益となる。社運を賭けるアジア強化策も当面はコスト先行となりそうだ。

その他の大手、準大手も11年3月期は全般に投信販売や引き受け手数料が減少する可能性が高く、収益は若干弱含みが見込まれる。中堅・中小証券、さらにネット証券については、株式市場が10年3月期以上に活況を呈さなければ、収益向上はリストラ・再編頼みということになろう。それに関連して、コスモ証券の買収観測が出ている岩井証券<8707>の動向も注目される。
(中村 稔)

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