【産業天気図・化学】業績回復加速で前半活況、ただ後半はナフサ高騰など懸念材顕在化で「曇り」へ後退

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 12月決算の昭和電工<4004>は、前期が49.8億円の営業赤字に終わったが、今10年12月期は営業利益300億円に急速浮上する見込み。前下期からの流れを引き継ぐ格好で、ハードディスク駆動装置の磁気ディスク(HD)の販売数量がパソコン向けの旺盛な需要回復を受けて急改善しているのとアルミニウム事業のリストラ効果が発現する。両事業とも赤字だったのが、今度は牽引役となることで損益が一気に改善する。

4月以降は、電子部品や液晶パネルに加えて自動車の本格回復が見込まれるのも業績回復を加速させる。JSRや日本ゼオンは液晶パネル材料とともに自動車タイヤ向けの合成ゴムも回復することで主力の「両輪」が出そろう。三菱ケミカルHDは、三菱レイヨンを株式公開買い付けで買収し4月からホールディングス傘下に加え、売上高は3兆円を突破する。住友化学もサウジアラビア合弁会社のペトロ・ラービグ社本格稼働、など収益へのプラス要因が他にも多い。

ただ持ち越された「懸念材料」は、無くなったわけではない。ナフサ動向に左右されやすい状況は化学メーカーの宿命だ。また石油化学製品の回復や電子材料の伸張をもたらした中国の需要拡大は「いつまで続くのか、調整はないのか」との懸念も、埋み火のように一時よりは小さくなっているものの残っているまま。さらに、ペトロ・ラービグ社などが主導する安価な天然ガス原料による石化製品が、大量に中国になだれこんでくるのも時間の問題だ。10月以降は、それらのマイナス要因が徐々に顕在化して、化学メーカーの業績回復基調に変化を及ぼす可能性がある。 
(鶴見 昌憲)

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