インフレ期待2%到達でアメリカFRBはどう動く 金利とドルの相互連関的な下落はいったん収束

著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

真っ当に考えれば、FRBの責務は株価の高値維持ではなく「雇用の最大化」と「物価の安定」の2つなのだから、明らかに先走っている株価の騰勢にブレーキをかけること自体は、さほど不思議なことではない。しかし、コロナ禍からの立ち上がりを図ろうとしている最中、あえてそうした株価潰しをやることについては相応の勇気が必要なのは間違いない。

したがって、「どれくらい抑制するのか」というさじ加減が重要になる。まず、名目金利の行方について、さまざまな見方がありうる。現状から横ばいでまったく変わらないという見方もあれば、大きく上がる、小さく上がる、もしくは逆に、感染再拡大に応じて下がっていくという見方もあるかもしれない。

名目金利はつれて上昇するのか

筆者は、有効なワクチン接種も順次始まっている以上、2021年のアメリカの金利が「横ばいでまったく変わらない」という想定には無理があるという立場だ。実際、10年BEIの上昇スピードが速いので実質金利低下ばかりに目が行くが、昨年10~11月を境に名目金利も少しずつ上昇している。

アメリカ10年金利は、1~3月期に1.0%台に乗せ、年央までに1.2%、年末までに1.5%程度までの範囲ならば上昇余地があり、ドル相場の一方的な下落もこれに応じて止まると考えている。

逆に、ここからアメリカの金利が下がる展開があるのだろうか。ないとは言えない。コロナ変異種の強毒化やそれに伴うワクチンの無効化など、コロナ絡みでは何が起きるかわからない。実情はどうあれ、2021年はメディアを中心として副作用の存在をことさら喧伝する時間帯が必ずあると筆者は考えている。その際、思惑主導でアメリカの金利が低下する可能性はリスクシナリオとして十分想定されるものだ。金利は上昇に賭けておくほうが無難だとは考えるが、逆サイドのリスクがゼロというわけではない。

次ページ「ドル化した世界」の難しさ
関連記事
トピックボードAD
マーケットの人気記事