企業価値の高い会社にオーナー社長が多いワケ 経営判断のスピードが勝敗を分ける

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「松下幸之助さんでもできなかったことがある」と大前氏(撮影:今井康一)

「経営トップは独裁者でなければならない」と語るのは、経営コンサルタントの大前研一氏。日本企業にありがちな、みんなの意見を聞いて、ゆっくりまとめる姿勢では、ダイナミックな強い経営はできないという。

オーナー経営者なら、たった1人でリスクを取る決断も瞬時にできる。グローバル経済で勝ち抜くスピード経営には欠かせない要素だ。またカリスマ経営は成功している限り、その経営哲学やビジョンが社内の求心力にもなるため、業績の拡大を通じた時価総額の上昇という好循環につながりやすいのだろう。

日本の社長は、始めよくても終わりダメ

一方、ワンマン社長の下で業績が悪くなりだすと、部下がいさめるのが難しく、あっという間に転落してしまう危険性も伴う。その意味では、大番頭とも言うべきナンバー2がよい意味でオーナー社長にブレーキをかけることも重要だ。

大河ドラマで注目度が高まっている黒田官兵衛をはじめ、戦国時代の軍師たちを分析した『軍師の戦略』を書いた作家、歴史研究家の皆木和義氏も「伸びていく経営者には軍師となる人がステージごとにいるものだ」と語る。「松下幸之助さんには高橋荒太郎さん、ソニーは盛田昭夫さんと井深大さん。本田宗一郎さんには藤沢武夫さんがいた」(皆木氏)。興味深いのは、トップの個性や才能に応じて、それを補って平衡をとるような人物がそれぞれのナンバー2、あるいは両雄として機能していることだ。

オーナー会社や一代でグッと伸びた企業に共通する、もう一つの課題は後継者の育成。大前氏も社長の任期を前半と後半に分けると、前半は事業の革新を行い、後半は後継者探しに血道を上げることがトップの最重要課題だと説く。「松下幸之助さんでさえ後継者を作れなかった。GEやIBMには社内に後継者を選ぶ仕掛けがあり、そうとうな時間とコストをかけていることを学ぶべきだ」(大前氏)。

歴史に名を残す名経営者は「立つ鳥跡を濁さず」に加えて、先代に名前負けしない、より優れた後継者を指名しなければならない。さもないと、“偉人伝残って企業残らず”となりかねない。

詳細は「週刊東洋経済」6月21日号(16日発売)の特集「社長の通信簿」をご覧下さい
山川 清弘 「会社四季報オンライン」編集部 編集委員

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やまかわ・きよひろ / Kiyohiro Yamakawa

1967年、東京都生まれ。91年、早稲田大学政治経済学部経済学科卒業。東洋経済新報社に入社後、記者として放送、ゼネコン、銀行、コンビニ、旅行など担当。98~99年、英オックスフォード大学に留学(ロイター・フェロー)。『会社四季報プロ500』編集長、『会社四季報』副編集長、『週刊東洋経済プラス』編集長などを経て現職。日本証券アナリスト協会認定アナリスト、日本テクニカルアナリスト協会認定テクニカルアナリスト。著書に『世界のメディア王 マードックの謎』(今井澂氏との共著、東洋経済新報社)、『ホテル御三家 帝国ホテル、オークラ、ニューオータニ』(幻冬舎新書)など。

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